研究課題
本研究では、食塩感受性高血圧症発症時のVEGFファミリーの役割に注目し、1)食塩負荷に伴ってリンパ管新生が誘導されるか否か、2)食塩負荷を感知してリンパ管新生を引き起こす細胞・分子機構、3)リンパ管新生を制御することが、事実、食塩感受性高血圧の発症を抑制するマシナリーとして治療的意義があるか否かを、高血圧モデルを作成し解明する予定であった。しかし、同等な研究モデルにおける成果(Nat Med 2009; 15:545-552)は、全く再現されず、リンパ管新生を制御することが、食塩感受性高血圧の発症を抑制するマシナリーとして治療的意義があるか否かを、キニン系欠損Brown Norway KatholiekラットおよびBradykinin B2受容体ノックアウトマウスで解明することは不可能であった。代替えの研究を急遽進めることにした。LPSを間欠的に腹腔内に投与して、腹膜炎を惹起すると、COX-2依存的に横隔膜腹腔側にリンパ管が新生することが明らかに出来た。野生型マウスにおけるLPS誘発腹膜炎に伴うリンパ管新生は、選択的COX-2阻害薬のセレコキシブ連日投与で抑制され、さらにCOX-2の下流でPGE2産生に関与する誘導型PGE合成酵素のmPGES-1ノックアウトマウスでも、リンパ管新生は野生型に比べ有意に抑制された。リンパ管新生部位を詳細に見ると、COX-2及びCD11b陽性細胞、VEGF-C/Dの遺伝子発現の増加も認めた。LPS誘発の腹膜炎時の腹腔からのリンパ流(腹水流出)を腹腔内にFITC-dextran、indian inkを投与して評価すると、COX-2阻害薬投与時には腹腔から排泄される腹水の速度は有意に抑制された。以上より、腹腔からの腹水の排泄に、リンパ管新生が関与し、アラキドン酸代謝物により、制御されていることが明らかになった。
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