研究課題
常在腸内細菌感染は宿主免疫機構に依存し腫瘍形成を誘導することから、腫瘍ウイルス感染と同様に細菌感染も潜在的な発癌リスクファクターとなることが予想される。本課題は、Chlamydia trachomatis Tarp分子の機能解析を進め、細菌感染が細胞増殖に与える影響を明らかにすることを目的とした。C. trachomatis Tarp ならびに、 C. trachomatis Tarpとはリン酸化状態が区別される C. pneumonia Tarp のほ乳類細胞を用いた異所性発現系の構築、さらにTarpトランスジェニックマウス作成に必用なプラスミドの構築を進めた。C. trachomatis Tarpは、異所性にほ乳類細胞で発現させた際、その発現レベルが極めて低く、これまでに行った分子機能解析において大きな障害となってきた。また、Tarpの詳細な機能解析、及び遺伝子改変動物作製に、ほ乳類細胞でのTarp発現効率を改善する必要がある。これまでに両tarp遺伝子を用い、大腸菌、ほ乳類細胞等を利用し構築した異所性発現系で得られた結果を解析したところ、C. trachomatis Tarp発現レベルの低下は tarp 遺伝子配列に起因することが明らかとなった。そこで、アミノ酸配列を変えることなくC. trachomatis tarp遺伝子上のコドン改変を行ったヒト化tarp遺伝子を設計し、その遺伝子の全合成を行なった。設計を行うに当たりコドン使用頻度をヒト細胞内タンパク質合成系に最適化し、またGC含量を60%程度とした。人化tarp遺伝子を用いた結果、ほ乳類細胞におけるTarpの発現レベルが改善され、人工Tarp遺伝子は今後のTarp 研究に非常に有用な材料となることが示唆された。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 2件)
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