研究課題/領域番号 |
24659122
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
伊東 健 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10323289)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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キーワード | アミノ酸飢餓 / 酸化ストレス / Nrf2 |
研究概要 |
私たちはこれまでに、アミノ酸飢餓応答因子GCN1L1がNrf2と直接相互作用すること、グリオーマU373MGにおけるGCN1L1ノックダウンはNrf2の核内蓄積と標的遺伝子の発現を低下することを見出していた。そこで引き続き膀胱がん細胞T-24においても解析したところ、GCN1L1ノックダウンはジエチルマレイン酸およびt-BHQによるNrf2の細胞内蓄積を低下させた。GCN1L1は細胞種を問わずNrf2の細胞内蓄積を低下することが考えられた。さらにU373MGにおいてGCN1L1のステーブルノックダウン細胞を作成した。独立した2株のGCN1L1のステーブルノックダウン細胞においても酸化ストレスによるNrf2の細胞内蓄積が減少していることが明らかになった。 GCN1L1のNrf2活性化における役割をさらに解析するために、GCN1L1にハロタグを結合して、その細胞内局在をHeLa細胞において解析した。その結果、GCN1L1は核周囲の細胞質に強く局在していた。リボソームとの局在と一致していることが考えられた。さらに、HeLa細胞においてGCN1L1を過剰発現したところ内因性Nrf2の蓄積が増加した。また、Nrf2結合配列を有するレポーター遺伝子の解析においてもGCN1L1の過剰発現は外来性および内因性のNrf2の転写活性化能を増強した。 以上の解析から、GCN1L1はNrf2の機能を増強する働きがあることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
GCN1L1ノックダウンおよび過剰発現実験により、GCN1L1がNrf2活性化に果たす役割は明らかになった。そのメカニズムは不明であるものの、研究は順調に進んでいると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
GCN1L1がNrf2活性化に果たす役割が明らかになったので、今後は、そのメカニズムに関して詳細に解析する必要がある。また、個体レベルでの解析が重要であり、ノックアウトマウスの解析を重点的に推進する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度に種々のがん細胞およびヒト正常アストロサイトにおいて、酸化ストレス誘導性のNrf2活性化におけるGCN1L1ノックダウンの影響を解析するはずであったが、グリオーマ細胞での酸化ストレス誘導剤を用いた解析でのGCN1L1ノックダウンの効果が小さく、実験条件の最適化、定量化に多くの時間をとられた。このため、種々のがん細胞およびヒト正常アストロサイトにおける解析は次年度に行うこととし、未使用額は主にその経費に充てることとしたい。
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