研究概要 |
In-vitroの結果:HSF1に変異を加えて、HSPによる活性制御させず、HSPを発現させる転写遺伝子として作用する常時活性型HSF1を、ブトウ糖の濃度に反応して、insulinを分泌するマウス膵β細胞であるMIN-6細胞に過剰発現させたところ、遺伝子変異のない野生型のHSF1に比べて、ブドウ糖添加時に1.27倍のinsulin分泌を促進させた。 そして注目すべきことは、ヒトの空腹時に血糖にあたる100mg/dl程度のブドウ糖刺激では、コントロールであるLacZ遺伝子を発現させたMIN-6細胞とInsulin分泌は同程度であったことである。 このことは、ヒトに応用した場合、常時活性型HSF1を膵β細胞に過剰発現した場合、空腹時には作用せず、低血糖の弊害が起こりにくいことを示している。そして、この常時活性型HSF1によるinsulin分泌メカニズムに介しては、以下のことが分かった。 HSF1で誘導されたどのHSPが関与しているかに関して、HSP16, HSP32, HSP60 HSP70, HSP90 を過剰発現して、MIN-6細胞でInsulin分泌を誘導するか、調べたところ、HSP90を介していることが分かった。 また、HSP90の活性阻害薬である 17-AAGを投与すると常時活性型HSF1によるinsulin分泌は阻害された。この二つの結果から、常時活性型HSF1はHSP90の発現を介してinsulinを分泌させることが分かった。 また、HSP90は、nitric oxide synthaseの活性化を調節しているので、neuronal nitric oxide synthaseの活性化に関して調べたところ、nNOSのリン酸化を認められた。 これ以降の関してであるが、Insulin分泌に関与している。 β細胞での血糖のセンサであるグルコキナーゼが常時活性型HSF1で活性化することが分かった。 グルコキナーゼとneuronal nitric oxide synthaseとの関係であるが、免疫沈降でを行ったところ、直接、グルコキナーゼとneuronal nitric oxide synthaseの結合を認めた。
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