研究課題
[目的、背景]近年、細胞は多様な長鎖非コードRNA(long noncoding RNA; lncRNA)を発現していることが判明した。lncRNAの種類、機能については未知の部分が多いが、エピジェネティックな遺伝子発現制御に重要な事がわかってきた。我々は癌抑制遺伝子であるCDKインヒビターp15/16遺伝子のポリコーム(PRC)を介したエピジェネティックな発現調節機構を明らかにし、p15/16の転写を抑制して細胞増殖を正に制御するlncRNA ANRILを発見した。本研究においてはANRIL等癌化や癌の進展に関与するlncRNAの分子標的としての選定と定量およびアッセイ法の開発を目的とする。H24年度はPRC2の構成成分であるSUZ12とANRILの結合を解析するRNA immunoprecipitation 法のセットアップと条件を確立した。H25年度は癌の分子標的として適当なlncRNAを選定することを目標とした。[方法、結果]H25年度は癌の分子標的として適当なlncRNAを選定するため、癌との関連が示唆されているANRILを含む既知の15種類のlncRNA (ANRIL、PCAT1、 PANDA、PR antisense、PSF interacting RNA、 GASS、lincRNA-p21、E2F4 antisense、MALAT1、HOTAIR、HULC、αHIF、Tie-1AS、PCGEM-1、UCA1-1)に注目し、特異的プライマーをデザインして、RT-PCRによる細胞内発現量の定量法を確立した。この定量アッセイを用いて肝がん培養細胞を用い、発がんシグナルによるこれらのlncRNAの発現変動を調べた。しかしながら有意に発現が変動するlncRNAはなかった。今後は正常細胞を用いて癌化シグナルを付与するモデル系でこれらのlncRNAの解析を行ない、分子標的を探索する必要がある。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (3件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)
Genes Cells
巻: 19 ページ: 89-96
10.1111/gtc.12119
Cell. Mol. Life Sci.
巻: 70 ページ: 4785-4794
10.1007/s00018-013-1423-0
巻: 18 ページ: 999-1006
10.1111/gtc.12093