研究課題/領域番号 |
24659131
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山崎 大樹 京都大学, 生理化学ユニット, 講師 (40467428)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | TRIC-A / 心臓線維化 / イソプロテレノール |
研究概要 |
TRICチャネルは、申請者のグループにて数年前に同定された小胞体膜上に局在するカルシウム放出に対するカウンターイオンチャネルである。申請者は心臓に豊富に発現するTRIC-Aに着目し、TRIC-A欠損マウスにおいてイソプロテレノール(Iso)の持続刺激によって観察された顕著な線維化メカニズムの解明を目指した。 本年度は、まず高純度な心筋細胞及び線維芽細胞の単離方法の確立を図った。心筋細胞は、一般的に行われているランゲンドルフ灌流法により免疫染色やカルシウムイメージング、さらには電気生理学的実験にも使用可能な細胞を得ることに成功した。また線維芽細胞は心筋細胞と同様にランゲンドルフ灌流法による単離も可能だが、より多くの細胞を得るため心臓全体を細かく刻み効率よくコラゲナーゼ処理する振盪法による単離法を確立した。 心筋線維化という現象は、最初に心筋細胞アポトーシスが生じている可能性が考えられたため、手元にあったパラフィン包埋試料を薄切し、TUNEL染色によってアポトーシスの有無を検討した。パラフィン切片によるTUNEL染色は、ポジティブコントロールにおいてもそれほど割合は上昇しないため、残念ながら野生型及びTRIC-A欠損心臓切片の間において差は見いだせなかった。 次にTRIC-Aは細胞内においてカウンターイオンチャネルとして機能していることから、もし線維芽細胞に何らかの機能異常が観察されれば、細胞内カルシウム動態に関しても異常が観察されるはずである。そこで、単離培養線維芽細胞を用いて、受容体刺激によるカルシウム放出や小胞体カルシウム貯蔵量について検討したが、両サブタイプの間で顕著な差は見いだせなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初平成24年度に計画していた、線維芽細胞における細胞増殖能及びコラーゲン産生能についてはほとんど検討できなかった。その理由として、心筋細胞及び線維芽細胞の単離方法の確立に予想以上に時間を費やしてしまったことが挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
当初予定していた実験計画からは多少遅れているが、心筋細胞及び線維芽細胞の単離方法がすでに確立したため、平成25年度にはこれらの細胞を用いた細胞機能解析を中心に行う。線維芽細胞は単離後、実験に使用するまでに培養期間があるため、心筋細胞を用いた解析を平行して行うことで後れを取り戻す。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は心筋細胞及び線維芽細胞の単離方法の確立に予想以上に時間を費やしたため、研究費の使用が抑えられたと考えられる。平成25年度には、細胞を単離するための酵素や細胞培養のための消耗品及び細胞機能解析用のキット等に支出する予定である。
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