興奮性組織に豊富に発現するTRIC-Aを欠損したTric-a欠損マウスにおいてβアドレナリン受容体刺激薬であるイソプロテレノールの持続刺激は顕著な心臓線維化を引き起こした。本研究ではその発症機序の解明を目指し、心筋細胞死に着目した。心筋梗塞の際に検出される血清トロポニンT濃度の上昇及びネクローシスを意味するエバンスブルー色素の膜透過性上昇がTric-a欠損心筋において観察され、電子顕微鏡観察の結果からこれはミトコンドリアの変性によるものと判明した。従って、イソプロテレノール誘発性心臓線維化は少なくとも顕著な心筋細胞死が関与することが示唆された。
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