研究課題/領域番号 |
24659134
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
瀬川 勝盛 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20542971)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 順遺伝学 / 貪食 |
研究概要 |
死細胞は、本来細胞膜の内側に保持されているフォスファチジルセリン(PS)を細胞膜外に露出することで、食細胞に認識され貪食・クリアランスされることが知られている。このことからPS露出は死細胞の典型的なEat-meシグナルと考えられてきた。ところが、我々の最近の研究でPSを恒常的に細胞膜上に強く露出する生細胞は、食細胞に認識・貪食されないことが判明した。このことは、細胞の貪食にPS露出は十分でないことを示している。 本研究では、Haploid genetic screenと呼ばれる新しいスクリーニング法を用いて、死細胞の貪食の十分条件を明らかにすることを目的とする。 当該年度において、一倍体細胞にリン脂質スクランブル因子であるTMEM16Fの恒常活性型を発現させ、ヒト一倍体PS露出細胞の樹立を試みた。レトロウイルスを用いて恒常活性型TMEM16Fを発現させ、その後PSを強く細胞表面に暴露する細胞をフローサイトメトリーを用いて分取し、強く細胞表面にPSを露出する一倍体細胞を取得した。次いで、この細胞の細胞膜表面へのPS露出を解析した結果、種々のPS結合タンパク質と結合することが分かった。また本研究では、ヒト一倍体細胞を、貪食能の有するマクロファージ様細胞にリプログラムすることも目指している。当該年度において、転写因子であるC/EBPa及びPU.1の過剰発現によって一部の細胞が培養ディッシュに接着し始め、ヒトマクロファージマーカであるCD14 を発現することが確認できた。このCD14発現細胞をフローサイトメトリーにて分取し、安定して増殖する細胞株の樹立を試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画書に記載した、PS露出ヒト一倍体細胞の取得に成功した。また、ヒト一倍体細胞を用いたスクリーニングを次世代シークエンスを用いた方法で網羅的に解析する系を確立し、実際にこの系を用いたスクリーニングが機能することを本年度に確認した。
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今後の研究の推進方策 |
貪食の十分条件を同定するべく、PS露出一倍体細胞を用いてさらにスクリーニングを行う。具体的には、レトロウイルスを用いた網羅的遺伝子破壊を行い、生きながらにマクロファージに結合、貪食される細胞を同定する。
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次年度の研究費の使用計画 |
貪食実験で使用する抗体、及び各種フローサイトメトリー関連消耗品、細胞培養消耗品、実験動物の購入または維持費が主たる研究費となる。
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