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2012 年度 実施状況報告書

人為的DNAメチル化導入法の開発と応用

研究課題

研究課題/領域番号 24659135
研究機関大阪大学

研究代表者

仲野 徹  大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (00172370)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワード国際情報交換
研究概要

① ZF-MIWI2の設計からトランスジェニックマウスの作製:二種類のLine-1レトロトランスポゾン-TfタイプとAタイプ-の転写調節領域に存在する塩基配列から、メチル化修飾が可能なCpG配列を多く含み、なおかつ、高アフィニティーで結合しうるzinc fingerタンパクを設計できる18塩基を選択し、それぞれに結合するzinc fingerの設計をおこない、ES細胞を用いて、塩基配列特異的な結合を確認した。さらに、これら二つの人工設計zinc fingerにMIWI2を融合したタンパクに、核移行シグナルとFLAGタグを付加した遺伝子を構築し、胎仔期精巣に特異的に発現するMILI遺伝子のプロモーターを利用し、ZF-MIWI2のトランスジェニックマウスを作製した。そのトランスジェニックマウスにおいて、ZF-MIWI2が発現しているかどうかを抗FLAG抗体により確認した。
② ZF-MIWI2のDNAメチル化能についての検討:MILI欠損マウスとZF-MIWI2トランスジェニックマウスを交配することにより、MILIを欠損しているためにpiRNAは存在しないが、ZF-MIWI2が胎生期の雄性生殖細胞において発現するマウスを作製した。このマウスにおいてLine-1遺伝子にDNAメチル化が生じるかどうかの解析をおこなったところ、実際にDNAメチル化が誘導されていることが確認できた。また、抗FLAG抗体を用いたクロマチン免疫沈降実験をおこない、ZF-MIWI2がLine-1遺伝子のプロモーター領域に存在ことも見いだした。さらに、このマウスでは、MILI欠損マウスとは異なり、精子形成が一部で回復していることがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

研究実施の概要に記載したとおり、年度当初に予定していた研究をほぼすべて遂行することができた。また、Line-1レトロトランスポゾン遺伝子のDNAメチル化導入を目標にしていたが、MILI欠損状態であっても、一部において精子形成がおこなわれる、という、予想以上の発見をおこなうことができた。このことから、計画以上に進展していると判断したい。

今後の研究の推進方策

前年度にひきつづき、人工デザインZF-MIWI2タンパクによるDNAメチル化導入法の開発とその利用についての研究をおこなう。ZF-MIWI2が、MILI欠損状態においてpiRNA非依存的にLine-1遺伝子にDNAメチル化を誘導できたので、Line-1遺伝子における、DNAメチル化に関与するタンパクの解析をおこなう。DNAのde novoメチル化には、Dnmt3aとDnmt3Lと
いう二つのタンパクが必要であるとされているので、ZF-MIWI2がこれらのタンパクと細胞内で複合体を形成しているかどうかをしらべる。また、ZF-MIWI2にFLAGタグを付加してあるので、抗FLAG抗体を用いて免疫沈降をおこない、ZF-MIWI2と結合するタンパクの質量分析による網羅的な解析を試みる。一方、Dnmt3L欠損マウスでは、レトロトランスポゾン遺伝子のDNAメチル化は生じないが、抑制的なヒストン修飾は生じることを見いだしていることから、ZF-MIWI2は、最初にDNAのメチル化を引き起こすのではなく、その前の段階として、抑制的なヒストン修飾を生じさせる可能性もあると考えている。そこで、ZF-MIWI2がどのようなヒストン修飾を惹起させるかを、クロマチン免疫沈降法などによって明らかにする。また、DNAのメチル化が周囲にどのようにして拡がっていくかの解析をおこなう。また、ZF-MIWI2によって精子形成が一部回復したので、それによって産生された雄性生殖細胞が受精能力を持っているかどうかを明らかにする。

次年度の研究費の使用計画

マウスの飼育、分子生物学的および生化学的解析のための試薬購入、といった消耗品の購入にあてる。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 3件)

  • [雑誌論文] Targeted gene silencing in mouse germ cells by insertion of a homologous DNA into a piRNA generating locus.2013

    • 著者名/発表者名
      Yamamoto Y, Watanabe T, Hoki Y, Shirane K, Li Y, Ichiiyanagi K, Kuramochi-Miyagawa S, Toyoda A, Fujiyama A, Oginuma M, Suzuki H, Sado T, Nakano T, Sasaki H.
    • 雑誌名

      Genome Res

      巻: 未定 ページ: 未定

    • DOI

      10.1101/gr.137224.112

    • 査読あり
  • [雑誌論文] GPAT2, a Mitochondrial Outer Membrane Protein, in piRNA Biogenesis in Germline Stem Cells2013

    • 著者名/発表者名
      Shiromoto Y, Kuramochi-Miyagawa S, (10名略), Yasunaga T, Kojima-Kita K, Itou D, Kimura T, Nakano T
    • 雑誌名

      RNA

      巻: 未定 ページ: 未定

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Essential role of DPPA3 for chromatin condensation in mouse oocytogenesis2012

    • 著者名/発表者名
      Liu YJ, Nakamura T, Nakano T
    • 雑誌名

      Biol Rep

      巻: 86 ページ: 1-8

    • DOI

      10.1095/biolreprod.111.095018

  • [雑誌論文] PGC7 binds histone H3K9me2 to protect against conversion of 5MeC to 5HmC in early embryos2012

    • 著者名/発表者名
      Nakamura T, Liu YU, Nakashima H, Umehara H, Inoue K, Matoba S, Tachibana M, Ogura A, Shinkai Y, Nakano T
    • 雑誌名

      Nature

      巻: 485 ページ: 415-419

    • DOI

      10.1038/nature11093

  • [雑誌論文] A forward genetic screen to study mammalian RNA interference - essential role of RNase IIIa domain of Dicer1 in 3' strand cleavage of dsRNA in vivo2012

    • 著者名/発表者名
      Ohishi K, Nakano T.
    • 雑誌名

      FEBS J

      巻: 279 ページ: 832-843

    • DOI

      10.1111/j.1742-4658.2012.08474.x.

    • 査読あり
  • [学会発表] DNA Methylation in Cell Differentiation and Transformation

    • 著者名/発表者名
      仲野 徹
    • 学会等名
      Shanghai International Conference of Epigenetics in Development and Disease
    • 発表場所
      上海
    • 招待講演
  • [学会発表] piRNA and Spermatogenesis

    • 著者名/発表者名
      仲野 徹
    • 学会等名
      2nd SKLRB Symposia
    • 発表場所
      北京
    • 招待講演
  • [学会発表] piRNA産生システムの解析

    • 著者名/発表者名
      仲野 徹
    • 学会等名
      22nd HCS 4th JARI Joint International Symposium
    • 発表場所
      広島
    • 招待講演

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公開日: 2014-07-24  

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