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2013 年度 実績報告書

インフルエンザウイルスポリメラーゼの構造変化抑制を作用原理とした新奇阻害剤の同定

研究課題

研究課題/領域番号 24659139
研究機関公益財団法人微生物化学研究会

研究代表者

山崎 学  公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所, 研究員 (50442570)

キーワードインフルエンザウイルス / RNAポリメラーゼ / エンドヌクレアーゼ / キャップ構造 / 質量分析フットプリント法 / 抗ウイルス薬
研究概要

インフルエンザウイルスがもつRNAポリメラーゼは、宿主mRNAからキャップ構造を含むRNA断片を切り出し、これをプライマーとしてRNA合成に利用することで、ウイルスmRNAにキャップ構造をもたらす。この活性の発現には、基質認識に伴う酵素の構造変化が重要と考えられている。昨年度の研究では、質量分析フットプリント法を用いて、キャップ化RNAの結合により酵素上の表面露出が変化する領域を見出した。本年度は以下の研究成果を得た。
1.質量分析フットプリント法によるタンパク質構造解析:昨年度に実験した酵素「そのまま」と「キャップ化RNAを結合させたもの」に加え、「キャップアナログ(RNAなし)を結合させたもの」を調製し、3者を比較することで、より詳細な構造変化の解析を試みた。その結果、キャップアナログの結合のみで表面露出が低下するペプチドを見出した。一次構造の機能マップから、この領域は切断活性の発現に伴い構造が変化する可能性が示唆される。
2.リバースジェネティクスによる検証:上記にて見出した領域の酵素活性における役割を検証するために、293T細胞にてウイルスポリメラーゼを再構築するレポーターアッセイを行った。その結果、領域内のアミノ酸残基の置換変異によって酵素活性が著しく低下したことから、本酵素の機能に重要な領域であることが示された。
3.構造変化を阻害する化合物の同定:昨年度に作製した小規模ライブラリーをスクリーニングし、構造変化を阻害する2種の天然化合物(β-RubromycinとFluvirucin B1)を見出した。これらによる酵素阻害活性を検証した結果、キャップ依存的なRNA切断反応を強く阻害することが示された。
本研究にて得られた以上の結果は、「酵素特有の構造変化を指標として酵素反応の阻害剤を探索する」という化合物探索ストラテジーの有効性を強く示唆する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2013 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] The essential role for the RNA triphosphatase Cet1p in nuclear import of the mRNA capping enzyme Cet1p-Ceg1p complex of Saccharomyces cerevisiae2013

    • 著者名/発表者名
      Takizawa N, Fujiwara T, Yamasaki M, Saito A, Fukao A, Nomoto A, & Mizumoto K
    • 雑誌名

      PLOS One

      巻: 8(10) ページ: e78000

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0078000

    • 査読あり
  • [学会発表] インフルエンザウイルスRNAポリメラーゼがもつキャップ依存エンドヌクレアーゼ活性を阻害する低分子化合物の探索

    • 著者名/発表者名
      山崎学、滝沢直己、藤原俊伸、水本清久、野本明男
    • 学会等名
      第61回日本ウイルス学会学術集会
    • 発表場所
      神戸国際会議場(神戸市)
  • [学会発表] 新規RNA5’-トリホスファターゼ阻害物質MI481-42F6 A,B,CおよびDに関する研究

    • 著者名/発表者名
      梅北まや、五十嵐雅之、澤竜一、山崎学、林千草、波多野和樹、藤原俊伸、水本清久、野本明男
    • 学会等名
      日本農芸化学会2014年度大会
    • 発表場所
      明治大学生田キャンパス(川崎市)
  • [備考] 公益財団法人 微生物化学研究会 微生物化学研究所

    • URL

      http://www.bikaken.or.jp/

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公開日: 2015-05-28  

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