研究課題/領域番号 |
24659140
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
犬伏 正幸 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (70399830)
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研究分担者 |
道川 祐市 独立行政法人放射線医学総合研究所, 緊急被ばく医療研究センター, 主任研究員 (20360688)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 再生医学 |
研究概要 |
本研究課題は、被ばく再生医療技術の確立に向けた挑戦的萌芽研究を協働して行うものである。成果の具体的内容:1)NIS-Tgマウスからin vivo追跡可能な幹細胞の単離法として、FACSariaを用いてマウス骨髄から造血系幹細胞と間葉系幹細胞をそれぞれ高純度に単離することが可能となった。また、緻密骨に付着している間葉系幹細胞についても、文献を参考にしながら単離法を確立した。2)幹細胞の培養法について検討を行い、1%O2下における接着型・浮遊型・吊り下げ浮遊型という体内環境により近い3種類の低酸素3次元培養法を確立した。3)マウス小腸放射線傷害モデルを作成するために腹部局所への限定的放射線照射を行った。4)被ばくマウスへの培養幹細胞の移植ルートについては、細胞を皮下注射にて移植した場合は描出できたが、静脈注射にて移植した場合は描出できなかった。5)被ばくマウスに移植した幹細胞の in vivoイメーシジングは、99mTc-SPECT/CTや124I-PET/CTにより非侵襲的に撮像して定量的に解析することに成功したが、これまでのところ2度目の撮像の際には描出できず、経時的な撮像には課題が残った。6)移植マウスの小腸機能のin vivoイメージングとして、消化管蛋白漏出イメージングの検討は次年度に延期した。7)移植マウスの生存率解析を行い、放射線量だけでなく、放射線種によってもマウスの反応が異なることが明らかとなった。8)&9)放射線被ばく移植マウスにおける組織化学的および分子生物学的解析として、臓器の再生状況を5段階で評価するための独自基準を策定した。意義と重要性:今年度検証および確立した観察技術を用いて、次年度は再生医療効果の早期判定法確立とその対応を目標として研究を行う。その成果は、幹細胞による組織再生を被ばく医療で実現するための強力な研究基盤ツールになると確信している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年間の本研究計画のうちの半分、初年度が経過した。H24年度の年度途中で研究代表者が研究機関を異動し、研究の遂行を一時停止せざるをえない時期があったにも関わらず、今年度予定していた実験はおおむね実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策としては、本研究課題は次年度が最終年度となるため、予定した実験を着実に遂行し、これまでの研究結果をまとめ、成果を公表したいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度に使用する予定の研究費があるが、これは、本研究代表者が本年度途中に研究機関を異動したため、異動先の研究機関で新たに設備・備品を購入する必要性が生じると予想しているためである。研究を遂行する上での問題点としては、本研究代表者はH24年度途中に研究機関を異動したが、すでに事業期間が終了した別の科学研究費補助金によって本研究代表者が購入して前研究機関に寄付していた備品を本研究代表者に無償返還してもらうことが、前研究機関の規程によって叶わず、それらの備品を今後再び購入しなければならないことである。研究者としては、補助金ごとの研究内容の切り分けについては充分に理解した上で、研究課題を1つずつ積み上げながら大きな学問体系に取り組んでいるので、すでに事業期間が終了した補助事業によって購入した備品と言えども、研究機関に無償で寄付した備品を有償で買い戻さなければならないことは到底納得できない。このような備品の取り扱いについても、科研費の使用ルールできちんと定めて頂ければと願う。
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