研究課題/領域番号 |
24659141
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
遠藤 玉夫 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 副所長 (30168827)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | プロテオミクス / 超百寿者 / 健康長寿マーカー / 糖タンパク質 / レクチンマイクロアレイ |
研究概要 |
本研究は、ヒト長寿モデルと考えられる105歳以上の超百寿者のサンプルについて、独自に開発したグライコプロテオミクスの手法を用い、超百寿者に特有の糖タンパク質並びに糖鎖の発現変化を解析する。それにより、老化に伴う糖タンパク質の発現変化とその機構を明らかにし、健康長寿マーカーを策定することを目的とする。本年度は超百寿者における糖鎖の変動に着目し、レクチンマイクロアレイを用いてグライコプロテオミクス解析を行った。 超百寿者群(106-107歳)、老齢対照群(70-74歳)、若齢対照群(20-38歳)の日本人女性を解析対象とし、採血後直ちに血漿を分離して凍結保存した。超百寿者群6人と若齢及び老齢対照群、それぞれ5人ずつの血漿について、レクチンマイクロアレイ (GP BioScience)を用いて解析し、超百寿者で特異的に結合が変動するレクチンを探索した。変動の認められたレクチンについて、超百寿者、老齢及び若齢対照群の二次元電気泳動(Auto2D, SHARP)から二次元レクチンブロットを行い、結合する糖タンパク質の加齢による変化について比較した。 レクチンマイクロアレイの結果について主成分分析及び階層的クラスター解析を行ったところ、超百寿者で特異的に結合が増加するレクチンはECA (Erythrina cristagalli agglutinin)、PHA-L (Phaseolus vulgaris leucoagglutinin)、AOL (Aspergillus oryzae L-fucose-specific lectin)、BPL (Bauhinia purpurea lectin)であることが明らかになった。複合型のN-型糖鎖に結合するレクチンが超百寿者で特異的に変動したことから、これらの糖鎖を持つタンパク質が、超百寿者で特異的に増加することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
超百寿者血漿サンプルを入手し、研究計画に沿っておおむね順調にレクチンマイクロアレイ及び二次元レクチンブ ロットを行った。得られた結果を、次年度の計画につなげる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、以下のような方策で研究を推進する。 1.超百寿者特異的に変化する糖タンパク質の同定と糖鎖解析 超百寿者血漿において特異的な糖タンパク質の発現変化を検出したレクチンを磁気ビーズ等に固定化し、発現変化の背景となる糖タンパク質を収集する。集めた糖タンパク質をトリプシンなどの消化酵素によりペプチドに分解する。こうして得た糖ペプチドをLC-MSやTOF-MSにより分析し、糖タンパク質の同定を行うとともに糖鎖構造や糖鎖結合部位の解析も併せて行う。 2.特異的抗体を用いた加齢に伴う発現変化の解析 超百寿者血漿特異的に変化の見られた糖タンパク質に関して特異的抗体を作成し、抗体を用いた免疫ブロッティングによって詳細なタンパク質の発現解析を行う。さらに、解析するサンプルの年齢層を広げ、超百寿者で見られた変化がどの年齢から生じているのか、超百寿者群と各年齢群の発現量の比較を行い、年齢や運動機能などとの相関について背景因子データに基づき統計的解析を行ない評価する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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