研究課題
本研究は、ヒト長寿モデルと考えられる105歳以上の超百寿者のサンプルについて、独自に開発したグライコプロテオミクスの手法を用い、超百寿者に特有の糖タンパク質並びに糖鎖の発現変化を解析する。それにより、老化に伴う糖タンパク質の発現変化とその機構を明らかにし、健康長寿マーカーを策定することを目的とする。本年度は、昨年度行ったレクチンマイクロアレイ解析の結果を検証するため、LC-MS/MSを用いて糖鎖解析を行い、さらに糖タンパク質についても解析した。超百寿者群(106-107歳)、老齢対照群(70-74歳)、若齢対照群(20-38歳)の日本人女性を対象とし、採血後直ちに血漿を分離し凍結保存した。糖鎖解析サンプルは、超百寿者群6人と若齢及び老齢対照群それぞれ5人ずつの血漿について、Peptide: N-Glycosidase F (PNGase F)処理を行ってN-結合型糖鎖を分離し、エタノール沈殿によりタンパク質を取り除いて調製した。LC-MS/MSを用いて糖鎖解析を行い、主成分分析により超百寿者に特有な糖鎖構造を調べたところ、高分岐の糖鎖及びシアル酸含有糖鎖が超百寿者で増加していることが明らかになった。またECA (Erythrina cristagalli agglutinin)は、レクチンマイクロアレイにより超百寿者特異的に結合が増加することが明らかになったレクチンであるが、本年度は血漿からECAに結合する糖タンパク質を濃縮し、トリプシン消化を行った後、糖ペプチドについて解析した。その結果、IgG1、IgG4、Hemopexin、Haptoglobinなどで、タンパク質の変動ではなく糖鎖構造が超百寿で特異的に変動しているものが検出された。以上より、超百寿者の健康長寿に糖鎖構造の変化が関わっている可能性が示唆された。
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基礎老化研究
巻: 37 ページ: 23-27