研究課題
遺伝と環境の相互作用で生じる加齢性疾患には、生活習慣病、認知症、癌等が挙げられるが、複合的な発症機序および治療・予防法には不明な点が極めて多い。近年、DNAのメチル化とヒストン修飾等で形成されるエピゲノムの実体が明らかになり、さらに環境因子や細胞老化がエピゲノムに多大に影響することが示唆されてきた。本研究では、ヒストンのメチル化および脱メチル化に着目し、細胞老化における関わりについて明確にすることを目的とした。具体的には、リジン脱メチル化酵素LSD1およびメチル化酵素の共役因子MCAF1について解析を行い、細胞老化に関わる新知見を得ることができた。RNA干渉法や化合物を用いたLSD1阻害によって、組織型の異なる細胞で共通して、ミトコンドリア機能が活性化することが判明した。一般に、細胞老化ではミトコンドリア機能が低下することが知られており、重要な意義があると考えている。さらに、SETDB1メチル化酵素の共役因子であるMCAF1について検討を行い、RNA干渉法でMCAF1を選択的に阻害した線維芽細胞は、老化状態に誘導されることが分かった。各種の老化マーカーが有意に増加して、ヒストンの遺伝子やタンパク質が著しく減少することが判明した。このように、老化のエピジェネティックな制御機構を明らかにして、得られた結果を抗加齢という治療・予防ポテンシャルにつなげることによって、世界に先駆けた老化エピゲノム研究を推進した。
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