研究課題/領域番号 |
24659154
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
笠原 正貴 慶應義塾大学, 医学部, 特任講師 (30328265)
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研究分担者 |
南嶋 洋司 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (20593966)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 低酸素 / PHD2 / エネルギー代謝 / Cori回路 |
研究概要 |
平成24年度は、肝細胞特異的に低酸素応答を活性化させたPhd2ノックアウトマウス(Phd2 flox/flox; albmin-Cre)群および対照群(Phd2 +/+; albmin-Cre)のマウスを使用して、“生理的乳酸負荷モデル”を作製した。運動負荷条件は、予備実験において決定したマウスへのトレッドミル運動負荷条件(走路速度:6m/minから開始、以後5分毎に2m/minずつ加速、走路傾斜角:+20度、中止時点:休憩時100Vの電気刺激にもかかわらず5秒間以上走行できなくなった時点)とした。このモデルでは、両群ともに野生型Phd2遺伝子を持つ骨格筋では低酸素応答は活性化しておらず、運動負荷によって両群から同等量の乳酸が血中に放出される。そして、肝細胞特異的Phd2欠損マウス群では、低酸素応答によって肝細胞の乳酸処理能力が活性化され、対照群と比較して血中乳酸値が低いことが予想される。 検討の結果、この“生理的乳酸負荷モデル”では、安静時と比較して血中乳酸値は有意に上昇していることが確認でき、対照群と比較して血中乳酸値が低い傾向にあることが確認できた。 一方、低酸素応答時に増加する転写因子HIF1α、HIF2αを検出するために、ウエスタンブロッティング法における条件検討を行った。まずRCC4細胞および786-O細胞を用いて、in vitroの系での検討を行った。その結果、HIF1α、HIF2αともに検出できることを確認した。次に12時間1%酸素下に培養したHeLa細胞を用いて検討を行った。その結果、低酸素状態に置かれたHeLa細胞から、HIF1α、HIF2αが検出されることを確認できた。すなわち、HIF1α、HIF2αの抗体が機能していることを確認できた。この結果を踏まえて、現在、Phd2ノックアウトマウスの肝臓で、抗体の条件検討を行なっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請した研究計画では、平成24年度に、(1) 低酸素応答が全身で活性化したマウスにおける“生理的乳酸負荷モデル”の作製、平成25年度以降に (2) 肝細胞特異的な低酸素応答を活性化させたマウスにおける“生理的乳酸負荷モデル”の作製、(3) 13C標識乳酸を投与したマウスでの各臓器でのメタボローム解析を行う予定になっている。 平成24年度は、上記の計画、(1)、(2)、(3) のうち、(2) の検討を行った。研究計画の順序の変更はあったものの、全体の進捗状況としては、概ね予定通りに進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度以降は、ウエスタンブロッティング法におけるHIF1α、HIF2α抗体の条件検討を、in vivo の系で行う。また、 肝細胞特異的な低酸素応答を活性化させたマウスにおける“生理的乳酸負荷モデル”を用いて、データを蓄積するとともに、研究計画の残りの課題、(1) 低酸素応答が全身で活性化したマウスにおける“生理的乳酸負荷モデル”の作製、(3) 13C標識乳酸を投与したマウスでの各臓器でのメタボローム解析を順次行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の未使用額の発生は効率的な物品調達を行った結果であり、未使用額は、翌年度の消耗品購入に充てる予定である。 具体的には、ウエスタンブロッティングにおける抗体等の試薬、DNA、RNA解析における試薬、メタボローム測定に用いる安定同位体標識乳酸や測定試薬等の購入に充てる予定である。 また、上記測定・解析に必要な消耗品購入費に充てるとともに、メタボローム解析に必要な解析用コンピュータの購入を予定している。
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