研究課題/領域番号 |
24659154
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
笠原 正貴 慶應義塾大学, 医学部, 特任講師 (30328265)
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研究分担者 |
南嶋 洋司 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (20593966)
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キーワード | 低酸素 / PHD2 / エネルギー代謝 / Cori回路 |
研究概要 |
平成24年度に作製したマウス・トレッドミル運動負荷による ‘‘生理的乳酸負荷モデル’’ を用いて、肝細胞特異的に低酸素応答を活性化させたPhd2ノックアウトマウス(Phd2 flox/flox; albmin-Cre)群と対照群(Phd2 +/+; albmin-Cre)を比較した。結果1:Phd2 flox/flox; albmin-Cre群は、対照群よりも長く走ることができる。結果2:Phd2 flox/flox; albmin-Cre群は、トレッドミル負荷試験50分の時点において、血中乳酸濃度が対照群よりも低い。結果3:乳酸を腹腔内投与した後の血中乳酸濃度は、Phd2 flox/flox; albmin-Cre群の方が低い。 以上から、Phd2 flox/flox; albmin-Cre群は、対照群に比べて運動負荷時あるいは乳酸負荷時に乳酸処理能力が高い可能性があることがわかった。そこで、肝細胞特異的に低酸素応答を活性化させたPhd2ノックアウトマウスにおいては、増加した乳酸の肝臓への取り込み、代謝(糖新生)が活性化している可能性がある。そこで、以下の項目について検討した。 1. 肝臓で糖新生が行われていることを証明するために、13C3-Lactate投与後に放出される、ラベル化されたGlucoseをLC/MSで解析する。そのために肝細胞初代培養実験系を確立する。2. 肝臓においてHIFで活性化された反応を明らかにするため、代謝反応に関わる酵素群の発現量をReal-time RT-PCR法で評価する。3. 13C3-Lactateを腹腔内投与後に、肝臓を摘出し、ラベル化された中間体謝産物をCE/MSで解析する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1. 肝細胞初代培養の実験系を確立することができた。 肝細胞初代培養のMediumに13C3-Lactate(10 mM)を加え、24時間培養した後にMediumを回収して冷凍保存した。現在、LC/MS解析を行うために、最適化を行っている。 2. 代謝反応に関わる酵素群の発現量をReal-time RT-PCR法で評価した。 G6Pase、FBP1、PDK1、PEPCK、LDHA、GLUT1、MCT1、MCT4などの代謝酵素群をReal-time RT-PCRで評価した。このうちPEPCKが有意な差をもって、Phd2 flox/flox; albmin-Cre群に活性化が認められた。 3. 13C3-Lactateを腹腔内投与20分後に、ラベル化された中間体謝産物をCE/MSで解析するために、肝臓を摘出した。現在、解析中である。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度以降は、CE/MSによるラベル化された中間代謝産物のメタボローム解析を完了し、肝臓におけるグルコース代謝の評価を完了する。また、ウエスタンブロッティング法によるHIF1α、HIF2α抗体の条件検討をin vivoの系で行う。加えて肝細胞初代培養実験系を確立したので、in vitroの系でも行う。
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