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2012 年度 実施状況報告書

分泌膜小胞を用いたRNA医療の試行

研究課題

研究課題/領域番号 24659157
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関岐阜大学

研究代表者

赤尾 幸博  岐阜大学, 大学院連合創薬医療情報研究科, 教授 (00222505)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードDrug Delivery System
研究概要

核酸医薬、とりわけRNA医薬の実現にはドラックデリバリーシステム(DDS)の確立が必須である。この研究では患者の細胞を用いて細胞が分泌する膜小胞に目的のRNA分子を包埋させ、より生理的で新規なRNA医薬キャリアーを用いた治療法を試行する。本年度の成果は以下のようである。
目的 ① miRNAの化学修飾によるトランスフェクション効率
THP-1細胞が膜小胞を分泌していることを確認した。miRNAの化学修飾した際のトランスフェクション効率を評価するため、miR-143の3’末端にbenzene-pyridineを化学修飾したRNA分子(miR-143BPs)と非修飾のmiR-143、そしてコントロールをTHP-1にトランスフェクションし、細胞内と分泌膜小胞内のmiR-143BPs量を測定した。細胞内、分泌膜小胞内共に化学修飾miR-143BPsの方がより高い濃度でmiR-143BPsが検出された。このことから化学修飾(BPs)を施したほうが細胞へのトランスフェクション効率、及び分泌膜小胞への移行の効率が高いことが分かった。
② 分泌膜小胞特異的な膜表面マーカーの選定
分泌膜小胞のみを単離する方法として、膜表面に特異的に発現するタンパクを利用した抗原抗体反応による単離法を試みた。その為、理想的な膜表面マーカーを選定するため、分泌膜小胞に存在するいくつかのタンパクをWestern blotにより検出した。その結果、CD81が最もTHP-1細胞分泌膜小胞特異的に発現していることが分かった。このことから、単離の際にCD81を用いて行なうこととした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでの研究により、分泌膜小胞を介してRNA分子を運搬することが可能であることが判明した。分泌膜小胞を用い、siRNA, miRNAをex vivoで細胞導入し、細胞治療、遺伝子治療として癌などの治療に応用することで、今後画期的なDDSとして期待できる。

今後の研究の推進方策

今年度は①エキソゾームから目的のRNA分子を有するエキソゾームを選択的に収集する方法を試行する。
問題点としては導入されたRNA医薬がエキソゾームのすべてに包埋されていないので分別して生体内投与が望ましい。その解決策としてRNA分子を蛍光ラベルして細胞に導入して収集する方法を工夫する。その方法として磁性物質にエキソゾームに特異的に表出されるCD63、CD81に対する抗体を固相化して収集し、その後、高感度FACSにて分別分取する。②分集が可能になれば動物モデルを用いたmiR-143/エキソゾームの全身投与を実施する。

次年度の研究費の使用計画

① 最適化されたRNA分子導入THP-1細胞における膜小胞分泌メカニズム (赤尾)
Endosomal sorting complex required for transport(ESCRT)、Toll-like receptorとの関連についてラベル化RNAを導入し、共焦点顕微鏡を使って解析する。さらにそれら発現をウエスタンブロットにて調べる。ESCRTとして重要なTsg-101の遺伝子サイレンシングを行ない、さらに検討する。(赤尾、野口)
解析の結果をみて膜小胞へのカスケードに関わる分子を同定し、より効率よく、目的のRNA分子を分泌膜小胞に包埋させるInducerを探索する。
②miRNAの導入細胞および膜小胞を用いた伝播の方法を用いたin vivoでの効果 (赤尾、森、野口)
In vitroにて最適化された方法により、THP-1細胞、マウスの単球を用いてex vivoで細胞を分化させ、がん抑制miRNA-143を導入し、坦癌ヌードマウスに投与する。これまでの実験では腫瘍および腎臓にもmiR-143が有意に検出され、投与された細胞および細胞から分泌された膜小胞によってmiR-143が運搬されたと推察される(Mol Ther,2011)。ここでは効果を検証する。リポゾームの大きさ、miR-143、-145の化学修飾による影響について抗腫瘍効果、腫瘍内への移行を中心に蛍光ラベルmiR-143を作成し、組織への移行をReal-time PCRおよび形態学的に検討する。

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公開日: 2014-07-24  

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