研究課題
(研究の目的)2型糖尿病の特徴的病理所見として膵島アミロイド沈着がいわれているがその意義は不明のままである。今回、アミロイド沈着の機序、意義を明らかにし、それに基づく新しい糖尿病発症、進展抑制に供する治療法を探索した。とくに、アミロイド沈着とβ細胞脱落との相関や、炎症反応との関連を検討し、アミロイド沈着がいかに膵島病理変化に影響を与えているかを評価した。(研究方法と結果)1.ヒト2型糖尿病の膵島アミロイドの検討。日本人2型糖尿病118例を用い、Thioflavin染色を用い膵島アミロイド沈着の頻度、程度を形態計測法を用いて評価した。その結果、日本人では欧米人に比しアミロイド沈着の頻度は28%(118名中27名)と低く(欧米人では90%以上)、またその程度も軽かった(膵島内平均17.5%)。2.臨床病態とアミロイド沈着の関連の検討。アミロイド沈着群は有意にBMI高値であり、肥満、インスリン抵抗性がアミロイド沈着と関連した。3.アミロイド沈着と膵島β細胞容積との相関の検討。免疫4重染色切片を用い、膵島α、β、δ、PP細胞の形態計測を施行した。糖尿病アミロイド沈着群では非沈着群に比しより高度のβ細胞脱落がみられ、アミロイドがβ細胞脱落を促進していることが示された。またα細胞容積もアミロイド沈着群でより高度の減少を示した。4.アミロイドの膵島催炎症作用の検討。アミロイド沈着と膵島内マクロファージ浸潤の関連を検討する。アミロイド沈着膵島では高度の活性化マクロファージの浸潤を認め、催炎症反応によりβ細胞脱落が促進されると考えられた。(結論)今回の研究から、膵島アミロイド沈着はインスリン抵抗性と関連し、より高度のβ細胞脱落をその催炎症反応によってもたらすものと考えられた。この機構の抑制が新しい糖尿病治療の方向性となる可能性がある。
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