研究概要 |
胆管癌の外科切除材料を収集し、胆管癌およびその前癌病変であるbiliary intraepithelial neoplasm (BilIIN)を中心に、癌化に伴うIgG4組織反応およびその発生機序を検討した。胆道癌の癌部およびその周囲の組織で約3O%の症例で、IgG4陽性形質細胞の浸潤がみられ、その前癌病変でも認められた。また、胆管癌組織では、制御性T細胞(Treg細胞)のマーカーであるFoxp3発現とIgG4組織反応との関連性が認められた。臨床病理学的な解析の結果、IgG4陽性形質細胞陽性は、生物学的悪性度が高く、術後の予後不良例が多くみられた。また、胆管癌培養細胞でFoxp3 mRNA, IL-10 mRNAの発現が確認され、癌細胞自身がTreg細胞類似の免疫抑制機序を有し、IgG4組織反応に関与している可能性が示唆された。以上、胆道癌においてはIgG4陽性形質細胞浸潤を伴う症例が存在し、IgG4組織反応はTreg細胞等を介した腫瘍免疫回避機構を反映すること、また、癌細胞自身がTreg細胞類似の免疫抑制機序を有し、IgG4組織反応に関与している可能性が示唆された。
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