研究課題
前年度までの研究により、樹状細胞表面上のHsp90受容体候補分子としてERO1-αを同定した。ERO1-αは元来小胞体に存在する酸化酵素であるが、樹状細胞の小胞体および細胞表面において炎症に伴ってしばしば認められる組織の低酸素環境ストレスによりその発現が増加することを明らかにした。さらに興味深いことにERO1-αはその発現増加に伴い、細胞外へ分泌された。共焦点顕微鏡を用いたERO1-αの局在は、steady stateの樹状細胞では大部分は小胞体に存在するが、低酸素培養下では、ゴルジ体への移行が多く認められ一部は細胞表面上に発現した。すなわち低酸素刺激のような発現増強した場合、ERO1-αは分泌経路に入っているものと考えられた。これは、ERO1-αの小胞体局在はERp44との結合によるが、ERp44は低酸素誘導性を示さないためERO1-αの発現増加に伴いfreeのERO1-αが増加するためであることを明らかにした。そして質量分析により細胞外に分泌されたERO1-αにはHsp90が結合していることが示された。ERO1-αは、細胞内に存在する酸化酵素のなかでも最も酸化能が高いことが知られている。またERO1-αが基質蛋白質を酸化する際には、多量の活性酸素種 (ROS)が産生されることが知られている。そこで、293T細胞にERO1-αを過剰発現させた細胞株を樹立し、培養上清からERO1-α-Hsp90複合体を精製し、樹状細胞に添加したところ、ERO1-α-Hsp90複合体は樹状細胞にエンドサイトーシスにより取り込まれた。この際、抗ERO1-α抗体処理での樹状細胞への取り込みは抑制されなかった。現在、ERO1-α-Hsp90複合体による樹状細胞活性化とMHC class Iの発現増加をみており、その分子メカニズムを解析中である。
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