研究課題/領域番号 |
24659167
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
古川 徹 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (30282122)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 膵臓がん / シグナル伝達 / RNA干渉 / 遺伝子発現 / 分子標的 / GPCR / MAPK / PI3K |
研究概要 |
「研究の目的」申請者は膵臓がんにおいてcAMP依存性キナーゼ(PKA)が活性化していることを見出したがPKAが含まれるGタンパク共役受容体(GPCR)信号伝達経路の膵臓がんへの関与についてはこれまでほとんど知られていない。本研究では膵臓がんにおいて活性化GPCR 経路に関連する分子を機能的にスクリーニングし,膵臓がんの診断・治療に有効な新規分子診療標的を同定して新たな分子診療法の開発に寄与するを目的とする。 「研究成果」膵臓がん細胞においてGPCR経路活性化の影響を調べるため活性化型変異GNASを構築,導入し,cAMPの細胞内濃度の変化、in vitroでの細胞増殖,生存活性の変化およびグローバルな遺伝子発現の変化を検索した。変異GNAS導入によりcAMP細胞内濃度は上昇したが、発現量がほぼ均一であるにもかかわらず、cAMP上昇の程度は細胞株により様々であった。In vitroでの細胞増殖・生存活性は変化しないか、一部では抑制が認められた。遺伝子発現変化を次世代シーケンサーを使用したSAGE法で解析したところ、ダイナミックな遺伝子発現の変化が認められ、その変化は細胞株によって極めて多様であった。これらからGPCR経路活性化に特異的なphenotypeに関与すると考えられる発現変化遺伝子を抽出し、その結果,MAPK、PI3K信号伝達経路関連分子の遺伝子発現変化が認められ,GPCR経路とのcrosstalkが存在し影響している可能性が示唆された。よって、これらcrosstalkの影響を検索するためMAPK経路に着目し,MAPK活性抑制剤を投与してその影響を検索した所、GPCR活性化と拮抗する、あるいは、相乗的に変化する遺伝子群が存在することを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
GPCR標的遺伝子としてターゲットすべき遺伝子群を見出す段階で、変異G蛋白を使うGPCR活性調節により、より明瞭にGPCR経路活性化と関連する遺伝子群を見出し,さらに、MAPK, PI3K経路とのcrosstalkに関与している遺伝子群を見出すことができた。Crosstalkの解析を追加し,膵臓がん細胞においてより効率的に作用しうるGPCR経路標的遺伝子を同定して分子標的治療開発につなげるべく,当初の予定に沿って研究を遂行して行く。
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今後の研究の推進方策 |
Crosstalkに関与する遺伝子群をさらにスクリーニングするためPI3K信号伝達経路とのinteractionを検索する。それらの結果を踏まえ、RNA干渉による機能標的スクリーニングを行い、重要な分子標的を見出し、続いて当初予定していた候補標的発現抑制の増殖生存への作用機構の解析、遺伝子クローニング、蛋白レベルの解析、発現抑制の造腫瘍性に対する効果の解析、標的候補抑制の正常細胞における効果の解析を順次行って行く。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当無し
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