研究課題
本研究では、標準的放射線療法である2Gy/日のX線を30日以上照射しても増殖を続ける臨床的放射線耐性(clinically relevant radioresistant; CRR)細胞とその親株を解析に用いた。CRR細胞は化学療法剤のうち、ドセタキセル(DTX)に交叉耐性であった。X線もDTXも殺細胞効果に活性酸素種(ROS)が関与していることが知られている。そこで、交叉耐性の背景としてカタラーゼの活性化による代謝亢進が考えられたが、カタラーゼ活性からだけでは説明できなかった(24年度)。そこでミトコンドリア(mt)の電子伝達系がCRR細胞のDTX耐性に中心的な役割を果たしているのではないかと推測し、今年度はmtDNA欠失細胞であるρ0細胞の樹立を目指した。臭化エチジウム処理により、mtDNA欠失細胞であるρ0細胞の樹立を試み、SAS及びHeLa細胞からの樹立に成功した。SAS-ρ0及びHeLa-ρ0細胞のX線感受性をHigh density survival (HDS) assayで解析すると、親株に比べて耐性を示した。また、DTX感受性をHDS assayで解析してもρ0細胞は親株に比べて耐性を示した。さらに、X線(10 Gy)を照射して、mtからのROSの検出を試みたが、ρ0細胞はCRR細胞と同様に、mtからのROSは検出されなかった。同様の結果は、DTX処理後にも認められた。以上からCRR細胞のX線とDTXへの交叉耐性はmt由来のROS産生が抑制されていることに起因していることが示唆された。ROSはmtの電子伝達系からのリークによると考えられるため、今後は電子伝達系のどの複合体が関与しているかを解析する。
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