研究課題/領域番号 |
24659179
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
牧野 吉倫 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教 (60431334)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | エピジェネティクス / FRET / ヒストンメチル化 |
研究概要 |
研究計画書通り、H3K79のメチル化を検出するプローブを作製し蛍光顕微鏡によりFRET効率を測定した。Dot1Lの過剰発現の有無によりFRET効率が変化したプローブが1種類認められたので、さらに詳細に確認するためフローサイトメーターを用いてFRET効率の変化を計測したがDot1Lの有無によって有意な差は認められなかった。今回のH3K79のメチル化を検出するFRETプローブは53BP1のH3K79メチル化認識(と考えられている)部位を用いたが、53BP1とH3K79メチル化との結合については否定的な論文も出ており、今回の結果から考えても本FRETプローブのアクセプターとしては適切ではないらしい。しかしながら他にH3K79メチル化を認識するタンパク質はいまだに見つかっていない。そこで我々はK79を含むヒストンペプチドでかつK79にメチル化が入っているものと入っていないものを用意して293Tから調整した核画分中にこれらのペプチドと結合するタンパク質の同定を試みている。銀染色の結果からはメチル化されたペプチドのみで見られるバンドも見つかっており現在、質量分析器による同定を試行中である。これらの実験から新たなH3K79メチル化結合タンパク質が見つけられれば、FRETプローブ作製にとって有用なだけではなくH3K79メチル化の生理的意義の解明にとっても重要な発見となることを期待している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究の進捗が計画よりやや遅れている最大の理由は、期待したFRETプローブがDot1L依存的に働かなかったことである。そのため現在あたらしいアクセプター候補を同定しているところである。研究実績に記載した通り、銀染色レベルではあるがいくつの候補が見つかってきているので、今後はタンパク質の同定と新しいプローブの作製を急ぎたい。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は予想していたFRETプローブが完成せず、次におこなう予定であったiPS細胞作製やその他の実験系に必要な予算を消化できなかった。あたらしいFRETプローブの作製が現在進行中であり、これが完成すれば上記の実験系に必要な物品及び試薬類に繰越した予算を使用する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
上記、記載通りiPS細胞や卵細胞の実験に必要な物品購入にあてる予定である。また旅費については上記予定の研究計画の遂行によって得られた成果について発表するために使用する予定である。
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