研究課題/領域番号 |
24659179
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
牧野 吉倫 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教 (60431334)
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キーワード | ヒストンメチル化 / Dot1L / FRET |
研究概要 |
53BP1を用いてK79メチル化プローブを作製したがK79メチル化を反映しておらず他のK79メチル化結合タンパク質を用いてプローブを作製することを目指した。現在のところ53BP1の他にK79メチル化結合タンパク質は報告されていないため新たに同定することを試みている。 ビオチン化K79メチル化ペプチドを用いたプルダウン実験を行い、検出されたバンドをマススペクトロメトリーで同定した。その後同定遺伝子をクリーニングし293T細胞の過剰発現系を用いてK79メチル化との結合を調べたが検出されなかった。真のK79メチル化結合タンパク質が同定されなかった原因として、(i) ビオチン結合タンパク質が優先的に同定された、(ii) K79メチル化との結合にはヌクレオソーム等の立体構造が必要でありペプチドの状態では結合しないことが挙げられる。そこで293T細胞においてFlagタグ融合ヒストン H3安定発現株を作製し、抗Flag抗体を用いて免疫沈降を行い、H3結合タンパク質を同定する。その中でDot1Lの過剰発現の有無によってバンドの量が増減するものを選択することによってK79meメチル化特異的に結合するタンパク質を同定する。またK79メチル化が高いレベルで見られるH3.3バリアントを用いることで結合量が増えると予想される。本報告書を作製時点において、H3安定発現細胞株を作製したところであり今後、K79メチル化結合タンパク質を同定していく予定である。また同定した後には申請書にあるとおりK79メチル化プローブの作製とスクリーニングを行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
成果報告書に記載した通り当初予定していた53BP1を用いたプローブがK79メチル化を反映しておらず他にK79メチル化結合タンパク質が同定されていないことから、一から結合タンパク質の同定を行っている。このことが予定を遅らせている原因である。ビオチン化K79メチル化ペプチドを用いた系では新規の結合タンパク質が同定されなかったので現在はH3安定発現株を作製しているところである。この系を用いて結合タンパク質が同定されれば、K79メチル化プローブの開発に有用なだけではなくK79メチル化の昨日を解析する上で重要なエビデンスとなる。
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今後の研究の推進方策 |
293T細胞においてFlagタグ融合ヒストン H3安定発現株を作製し、抗Flag抗体を用いて免疫沈降を行い、H3結合タンパク質を同定する。その中でDot1Lの過剰発現の有無によってバンドの量が増減するものを選択することによってK79meメチル化特異的に結合するタンパク質を同定する。またK79メチル化が高いレベルで見られるH3.3バリアントを用いることで結合量が増えると予想される。本報告書を作製時点において、H3安定発現細胞株を作製したところであり今後、K79メチル化結合タンパク質を同定していく予定である。また同定した後には申請書にあるとおりK79メチル化プローブの作製とスクリーニングを行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究実績及び現在までの達成度の項目に記載した通り、計画は予定より遅延している。本研究課題において特に予算を必要とするのは、(i) 骨髄細胞の初代培養、(ii) iPS細胞を用いた実験、(iii) マウスの管理、維持またはトランスジェニックマウスの作出である。また現在までのところ培養細胞を用いた新規K79メチル化結合タンパク質の同定には当初予定した予算額を必要としていない。 今後新たなプローブを作製した後に初代培養細胞やiPS細胞、マウスを用いた実験系に予算を用いる計画である。
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