研究課題
尋常性白斑は、 世界の人口の約0.5-1%が罹患する白斑が拡大する疾患で、メラノサイトに対する自己免疫反応が原因の一つと考えられている。全身に拡大してしまうと難治であり、外見上、QOLの低下が問題となっている。これまでに、研究代表者は自己免疫反応や腫瘍免疫などの様々な免疫反応を抑制する制御性T細胞の抗原特異的な増殖誘導に樹状細胞が重要な役割を果たす事を示してきた。樹状細胞はプロフェッショナルな抗原提示細胞であり、自然免疫と獲得免疫をリンクする重要な細胞である。本研究では、樹状細胞による増殖する抗原特異的制御性T細胞を利用して、メラノサイト特異的制御性T細胞の増殖誘導を試みた。メラノサイト抗原特異的な制御性T細胞を誘導できれば、尋常性白斑の新しい治療に貢献できる。樹状細胞により増殖する制御性T細胞を利用してメラノサイト特異的制御性T細胞を誘導する為、ヒト末梢血液、皮膚からの樹状細胞と制御性T細胞の採取条件の検討をした。皮膚からの制御性T細胞と樹状細胞の回収率を上げる為、H25年夏から秋に導入予定のMACS組織ホモジェナイザーのヒートコントローラーを利用する事にしたが、導入がさらに遅れたため、酵素の条件や市販のキットなどを利用して、回収率の上昇を試みた。また、メラノサイトの抗原として、正常メラノサイトとメラノーマに共通の抗原がある事に着目し、メラノーマ由来の抗原ペプチドのライブラリー、さらにはメラノーマからの制御性T細胞、樹状細胞の採取も試みた。メラノーマの組織に浸潤している制御性T細胞、樹状細胞の免疫組織学的解析も行った。これらの研究の結果、ヒト制御性T細胞と樹状細胞の血液、組織からの採取の条件を決定する事ができた。現在ヒトにおける抗原特異的制御性T細胞の誘導実験を継続している。
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