我々は最近、ローデントマラリア原虫の媒介蚊体内での発育ステージを培養で再現することに成功した。しかし培養条件下で形成されたスポロゾイトはマウスに対して感染性を持たないことから、蚊の体内で感染性をもつスポロゾイトが作られるには、媒介蚊のもつ特有の因子が必要であるという作業仮説を立てた。蚊の抽出物を培養系に添加する実験を行ったところ、サナギ抽出物はわずかにスポロゾイト形成促進効果を示したが、成虫抽出物では効果が認められなかった。抽出物調製手順の改良によって、より高濃度の抽出液を調製することができれば、ハマダラカ因子の同定が可能になると期待される。
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