研究概要 |
本研究は、人工多能性幹細胞(iPS細胞)由来赤血球細胞を用いた、三日熱マラリア原虫(Plasmodium vivax,以下 P.vivax)の培養系の確立を目的とする。具体的には、iPS細胞から赤血球分化誘導を行い、国立国際医療研究センター(NCGM)病院で採取された三日熱マラリア患者の感染血液と共培養を行い、分化誘導細胞にP.vivaxが感染するかどうか、分裂・増殖するかどうか、様々な培養条件を検討して研究する。 24年度は、ヒトiPS細胞より赤血球系細胞の分化誘導の検討を行った。用いたiPS細胞はNCGM疾患制御研究部において、山中因子をセンダイウイルスベクターによって導入し作成されたものである。未分化のiPS細胞は、繁雑なマウス胎仔線維芽細胞を用いたフィーダー培養ではなくEssential 8培地(Lifetechnology社)、vitronectinコートのシャーレを導入することにより無フィーダーで、週二度の継代で未分化維持することが可能になった。 赤血球への分化誘導は、Elizabeth S. et al(2005)の方法により行った。未分化のiPS細胞をトリプシンEDTAで単一の細胞になるまで解離し、細胞をカウント後MPCコートの96穴丸底プレートに各ウェル5,000~10,000個になるように入れ、1,500rpmでプレートを遠心し浮遊培養を開始する。単一だったiPS細胞は丸底プレートの各ウェルの中心に円状に集まる。およそ10日後、生きた細胞同士が球状に集合しスフィアーを形成に成功した。このスフィアー形成は、毎週行いルーチン化している。現在調整したスフィアーを赤色スフィアー(赤血球)への分化誘導を行っている。
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