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2012 年度 実施状況報告書

人工酸素運搬体による重症マラリア合併症の補助療法の開発研究

研究課題

研究課題/領域番号 24659193
研究機関独立行政法人国立国際医療研究センター

研究代表者

狩野 繁之  独立行政法人国立国際医療研究センター, その他部局等, その他 (60233912)

研究分担者 酒井 宏水  早稲田大学, 附属研究所, 教授 (70318830)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワード感染症 / 微生物 / マラリア / 補助療法 / 輸血 / 人工赤血球 / ヘモグロビン小胞体
研究概要

本研究では、重症マラリアに対する治療法として人工酸素運搬体(ヘモグロビン小胞体:Hb-V)の適応可能性の評価を目的とする。
24年度は、計画通りP.berghei ANKA原虫感染Balb/cマウスへのHb-V投与の検討をした。まず原虫増殖に伴うマウスの貧血を調査するため、原虫感染後5、6、7日後のマウス及び同日数の正常マウスよりそれぞれ採血し、ヘモグロビン(Hb)濃度を測定した。マウス体重で推定した血液量から一匹あたりのHb量を換算した結果、正常マウスと比べて5、6、7日で10、36、104 mgのHb減少が判明した。Hb-V溶液は100 mg/mlに調整されていることから、感染マウスへの静脈投与開始は感染後6日目から0.5 ml(Hb 50 mg相当)で行うことにした。次に投与したHb-Vの血中残存性を調べるため健康マウスにHb-Vを尾静注投与後、毎日採血を行い血漿中(Hb-Vは遠心で沈殿しない)のHb量を測定した。その結果血中Hb-Vは投与後徐々に減少し、4日目で血漿中より消失した。また投与後24時間でHbがメト化することも判明し、酸素運搬体としてHb-Vを機能させるには24時間ごとに投与する必要が考えられた。これらの結果を受け、P.berghei感染後6日目よりHb-Vを24時間毎に0.5 ml投与し、同量の生食投与区やHb-V未投与区と比較したが、本Hb-V投与法では原虫寄生率、体重変化、生存率などの数値的な病態改善は観察されなかった。しかしながらHb-V投与直後のマウスは、未処理区や生食投与のマウスと比較して著しく行動が活発になることが観察された。おそらくHb-V投与直後は酸素運搬体としての機能を発揮しマウスの行動が活発になるが、24時間後にはメト化され機能を失うものと考えられた。行動の活発が観察されたことで、Hb-V投与のマラリア重症化阻止効果が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

計画していたBalb/cマウスでのマラリア感染に伴う寄生率や体重の変動、マウス血液データ(赤血球数、白血球数、血小板数、ヘマトクリット値、ヘモグロビン量など)の変動等、さらにマラリア感染マウスへのHb-V投与効果など、基本的なデータの収集はおおむね計画通り達成できた。Hb-V投与によるマラリアの著しい病態改善など当初期待していた治療効果は、現時点で行った実験条件では見られなかったが、Hb-V投与直後のマウスの行動が活発化することを見いだすことに成功し、この観察結果から、Hb-V投与のマラリア重症化阻止効果が示唆された。

今後の研究の推進方策

P.berghei感染Balb/cマウスの病徴として、重症化に伴ってマウスの行動の低下があげられ、このことによって摂食行動も低下し衰弱する。今回Hb-V投与直後にBalb/cマウスの行動の活発化が観察されたことから、行動の活発化を持続させ摂食行動を向上することができれば、Hb-V投与による重症化低下が起こり、結果として生存率を高める治療効果が得られるものと期待できる。そこでBalb/cマウスを用いた実験を25年度も継続し、Hb-V投与の治療効果を見いだせるさらなる条件の模索を行う。具体的には原虫のロットや投与量、Hb-Vの投与量回数、タイミングを変化させる。さらにそれぞれの実験で、マウス行動の数値化(歩行距離、持続時間の測定、ビデオ撮影など)をすることも目標に加える。
また実験的脳マラリア(ECM)へのHb-V投与の影響を調べるために、脳マラリアモデルであるC57BL/6マウスを用いた実験も計画通りに進める。その際Balb/cマウスで行った実験データを参考にして行う。

次年度の研究費の使用計画

該当なし

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公開日: 2014-07-24  

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