研究課題/領域番号 |
24659194
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山口 博之 北海道大学, 大学院保健科学研究院, 教授 (40221650)
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研究分担者 |
中村 眞二 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40207882)
松尾 淳司 北海道大学, 大学院保健科学研究院, 助教 (50359486)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | クラミジア / 原始クラミジア / アンキリンリピート / IV型分泌装置 / アメーバ / 共生細菌 |
研究概要 |
水系環境より難培養性細菌Protochlamydia (プロトクラミジア) R18が共生するアメーバ株を樹立した。一方、真核生物のさまざまな蛋白には約30残基のアンキリンリピートが存在し(Ank)、蛋白と蛋白の相互作用を担う。一部の細菌にも見られるが、レジオネラには菌体を細胞質から隔絶する小胞(LCM)の裏打ち構造に必須なユビキチンの集積を誘導するF-box領域を備えたユニークなAnkが存在する。この蛋白はレジオネラのアメーバのみならずヒトマクロファージ内での生存に必須である。興味深いことにゲノムがオープンになったアメーバ内に見いだされたProtochlamydia UWE25株にもF-box Ankが存在することが明らかされた (Science, 2004)。また我々が株化したProtochlamydia R18はアメーバ内でLCMを全く形成しなかった。F-box Ankが存在すると予想されるProtochlamydia R18は何故アメーバ内でLCMを形成しないのだろうか。我々は宿主が競合するレジオネラに対抗あるいはレジオネラと共存するためと仮説を立て検証する。まず次世代シークエンサーによりProtochlamydia R18のドラフトゲノムを得、そのゲノム解読から、ゲノムの特徴を明らかにするとともにAnkドメインを保有する機能蛋白つをコードする遺伝子の同定を行った。次世代シークエンサーにより、795本のコンディグを得た。予想されるゲノムサイズはProtochlamydia UWE25とほぼ同じサイズで2,999,361bpと予想された。またアメーバ内環境の最適化に必須なIIIならびにIV型分泌装置は保存されていた。Ankドメインを保有する機能蛋白をコードする8つの遺伝子を異なるコンディグ上に同定した。しかしながら一部の遺伝子の発現しか確認できなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画では、以下の2つの点に焦点を絞り研究を実施する予定であった。 1. 独自に株化したアメーバ内に見いだされた難培養性共生細菌Protochlamydia R18のドラフトゲノムの決定。 2. ドラフトゲノム解析よりAnkドメインを持つ機能蛋白をコードする遺伝子の同定しその発現を確認すること。 その結果、次世代シークエンサーにより、795本のコンディグを得た。予想されるゲノムサイズはProtochlamydia UWE25とほぼ同じサイズで2,999,361bpと予想された。またアメーバ内環境の最適化に必須なIIIならびにIV型分泌装置は保存されていた。Ankドメインを保有する機能蛋白をコードする8つの遺伝子を異なるコンディグ上に同定した。しかしながら一部(ank0317とank1707)の遺伝子の発現しか確認できなかった。 これらの結果よりおおむね順調に進展していると自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
Protochlamydia R18のドラフトゲノム解読から同定されたAnkドメインを保有する機能蛋白をコードする8つの遺伝子の中から発現が確認された遺伝子(ank0317とank1707)を、アメーバならびにヒト細胞に発現させ、レジオネラに対する抵抗獲得性について細胞・分子レベルにて明らかにしてゆきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
補助事業を辞退するため
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