研究課題
初年度、コムギ胚芽無細胞発現系と大腸菌発現系でHelicobacter pylori (Hp) 26695株の全長recombinant OipA(rOipA)タンパク質の発現に成功した。そして、2年目は大腸菌発現系からの全長rOipAタンパク質の精製に初めて成功し、OipAタンパク質複合体に関しての新たな知見を得ることができた。膜タンパク質であるrOipAタンパク質は可溶化することが精製の必要条件である。そこで種々の界面活性剤を検討した結果、コール酸ナトリウムとDDMがrOipAの可溶化・精製に有効であることが分かり、Hisタグによるアフィニティー精製でrOipAタンパク精製標品を得ることに成功した。さらに、ゲル濾過により精製標品を分析したところ、精製標品中におけるrOipAタンパク質はモノマーの状態で存在することが分かった。我々は以前に、OipA遺伝子をノックアウトしたピロリ菌株をAGS細胞に感染したところ、野生株と比較してAGS細胞からのIL-8産生が有意に低いことから、OipAタンパク質はIL-8産生を誘導する機能をもつと報告した(Yamaoka et al , PNAS , 2000)。そこで今回、AGS細胞を用いてrOipAタンパク質精製標品での感染実験を行った。その結果、モノマーとしてのrOipAタンパク質ではIL-8産生を誘導しないことが明らかとなった。このことから、OipAタンパク質はオリゴマーとして、または他の分子と複合体を形成することで機能的に働くことが示唆された。次に、DDMで可溶化したHp26695株の膜タンパク質をサンプルとしてHigh Resolution Clear Native PAGEを行うことでOipAタンパク質複合体の解析を行った。その結果、OipAタンパク質は約700kDaの複合体を形成していることが明らかとなった。さらに2次元目にSDS-PAGEを行ったところ、4つのタンパク質で複合体が形成されていることが明らかとなった。このOipAの相互作用分子候補である4つのタンパク質については現在同定を進めている。
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