研究課題
細菌型mitoNEETは [2Fe-2S]クラスターをもつ可溶性蛋白質であり、電子伝達、あるいは生体内レドックス・バランスと対応した新しい生体内システムと推察される。高度好熱菌およびシアノバクテリアのゲノム情報より見いだした細菌型mitoNEETホモログ(TthNEETおよびPirB)につき、構造機能生理解析を連携して実施し、平成25年度には以下の主要成果を得、学会等で一部発表した。1. T. thermophilus HB8のTthNEET0026欠損株と野生株の表現型解析を行い、(現時点では)欠損株においてグルコース存在下、生育阻害がかかることを発見した。他の糖類の効果も幾つか検討し、グルコース特異的に生育阻害が認められることを確認した。一方、網羅的メタボローム比較解析結果の再検討から、解糖系等の主要等代謝経路の主要中間代謝産物に大きな変動がないことを確認した。2. 遺伝子改変株をもちいたin vitro TthNEET結合蛋白質同定を試みたが、断定的な結論を得ることはできなかった。3. シアノバクテリアPirB欠損株を作成した。表現型解析を試みたが、生育が遅いため定量性ある結果を得ることはできなかった。DNAマイクロアレイ解析をすすめる計画であったが、表現型解析の結果が不明瞭であり、またマイクロアレイ実験そのものが非常に高価となるため、今後さらなる検討を要する。4. ラットmitoNEET結晶構造解析を引き続き行い、結晶性の改善と高分解能回折データの収集に成功した。3種類の薬剤との共結晶作成に成功し、構造精密化をすすめている。今後論文として発表する計画である。一方、ラットmitoNEETではインスリン抵抗性改善薬との共結晶化に成功しなかったため、線虫およびシゾン由来のmitoNEET結晶化条件を検討、線虫mitoNEETにつき微結晶を得た。今後条件改善を検討する。
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