研究課題
2011年にHCVに非常に近縁なウイルスが犬から分離され、Canine hepacivirusと命名された。本研究の目的は、Canine hepacivirusあるいは相同性の高いウイルスの我が国での存在を明らかにし、その検出・診断方法を確立するとともに、その感染機構を解析し、ウイルス伝播機構を明らかにすることである。11頭の犬の鼻スワブより、CHV遺伝子の増幅・分離を試みたが、PCRおよびNested PCRによって検出出来なかった。また、15頭のウマから血清を採取し、内三頭からCHVと相同性が高いウイルス遺伝子を検出した。そのうち一頭に感染しているウイルスの全ゲノム遺伝子配列を増幅した。未報告であった3’末端領域の配列はポリ(U)ポリメラーゼを使った3'RACEで決定した。全遺伝子にコードされているポリ蛋白質はCHVや既報のウマヘパシウイルス(EHcV)に95%以上相同性をしめし、同一と考えられた。また、ウイルスキャプシド蛋白質に対する検出法を確立し、ウマ血清から血清学的な検査方法を確立した。また、キャプシド蛋白質は膜内分解酵素で切断されることがわかり、脂質ラフトや脂肪滴周辺に局在することが分かった。キャプシド蛋白質のプロセッシングおよび細胞内局在の特徴は、HCVと同様で、ヘパシウイルスの共通の特徴といえる。以上のことから、我が国で生まれたウマからもCHVと同様のウイルスが検出され、ほぼ欧米で報告されているものとほぼ同一のウイルスであることが示唆された。以上の結果から、日本産馬にヘパシウイルスの感染が認められ、欧米と同様以上の感染率を示したことから、我が国における伝播経路は欧米と異なることが予想された。
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