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2012 年度 実施状況報告書

Vpx感受性を示す新規抗HIV/SIV細胞因子の探索と同定

研究課題

研究課題/領域番号 24659208
研究機関徳島大学

研究代表者

足立 昭夫  徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (90127043)

研究分担者 野間口 雅子  徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (80452647)
宮崎 恭行  徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (70607233)
三宅 在子  徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (20548622)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワードウイルス / HIV / Vpx / 拮抗因子 / 細胞因子 / 蛋白質翻訳
研究概要

全てのヒト免疫不全ウイルス/サル免疫不全ウイルス(HIV/SIV)はアクセサリー蛋白質(Vif、Vpx、Vpr、Vpu及びNef)を持つ。アクセサリー蛋白質は宿主細胞に存在する様々な因子と相互作用することによりウイルスの複製・持続感染・伝播の最適化をもたらすと考えられている。ごく最近、Vpxとある種のSIV 由来Vprはミエロイド細胞(樹状細胞やマクロファージなど)中のSAMHD1やAPOBEC3Aを標的としこれを分解することが報告された。しかし、これらの細胞因子はミエロイド細胞に特異的に存在するわけではなく、リンパ球ではほとんど存在しない。Vpxはミエロイド細胞とリンパ球におけるHIV-2/SIVmacの複製に重要であることが遺伝学的解析から明らかにされているので、Vpxの標的細胞因子は他にも存在する可能性が高い。
本年度は、初代ヒト樹状細胞、ヒトマクロファージ様細胞株THP-1(未分化及び分化細胞)、H9(ヒトリンパ球細胞株)、293T(ヒト腎臓細胞株)、HSC-F(カニクイザルリンパ球細胞株)、M1.3S(アカゲザルリンパ球細胞株)、MK.P3(F)(カニクイザル腎臓細胞株)及びLLC-MK2(アカゲザル腎臓細胞株)を用いたマイクロアレー法によりVpxの標的細胞因子の候補を選択した。選択した15個の因子はpcDNA3.1(-)-cFLAGにクローンした。一過性のトランスフェクションでは、明確な結論が得られないことが判明したため、これらを一つ一つネコCRFK細胞に導入し恒常発現細胞株を取得した。現在、これらの細胞株につき、Vpx欠損ウイルスに対する抗ウイルス活性を検討中である。Vpx欠損ウイルスが増殖できない、あるいは、野生型ウイルスと比べ欠損ウイルスの増殖能が非常に劣る細胞株があれば、全く新しい抗HIV/SIV細胞因子が同定されることになる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の最終目標は、Vpxが標的とする新しい抗HIV/SIV宿主因子の同定である。本年度は、この目標に向け順調に研究が進展していると言える。
HIV/SIVが感染・増殖する様々な細胞系を解析に用いたため、候補細胞標的因子を15個に絞り込むことができた。当初は、候補因子を一過性に発現させた細胞とマーカー付HIV-2クローン(野生株及び変異体)とを用いたシングルサイクル感染性アッセイで抗ウイルス活性を検証することとしていた。しかし、このシステムでは、対照として用いたTRIM5蛋白質(非常に強い抗ウイルス活性を持つ細胞因子)でも明確な結果が得られないことがわかったため、検証システムを変更した。候補因子を恒常的に発現するネコCRFK細胞を樹立し、この細胞系を用いたシングルサイクル感染性アッセイで候補因子の抗ウイルス活性を検討することとした。恒常発現細胞株は極めて迅速に樹立されたので、研究に遅れはないと考えている。

今後の研究の推進方策

今後は、候補因子の恒常発現細胞の抗ウイルス活性の測定を継続し、有望な因子はsiRNAを用いた確認実験やバイオインフォマテックスなどによりVpxの標的細胞因子として同定する予定である。HIV-2/SIVmacとその変異体を用いたウイルス学的検証実験も当然行なわれる。さらに、Vpxとこの細胞因子の細胞内局在性も確認する。
候補因子はマイクロアレー法により15に絞られたが、抗HIV/SIV因子の同定の確率を向上させるため、cDNA発現サブトラクションライブラリーやプルダウンアッセイによる候補因子の探索も並行して行うこととしている。
Vpx拮抗因子が同定されれば、そのHIV-1複製に及ぼす影響も解析する。HIV-1はVpxを持たないが、構造や機能においてVpx のパラログとされるVprを持つ。ある種のSIV VprはVpxと同様に拮抗因子を分解するとの報告があるので、新しい抗ウイルス因子とHIV-1 Vprの相互作用の解析は大変重要な課題であると思われる。

次年度の研究費の使用計画

3月の納品を受け、4月に支払予定である。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (6件)

  • [雑誌論文] Systemic biological analysis of the mutations in two distinct HIV-1mt genomes occurred during replication in macaque cells.2013

    • 著者名/発表者名
      Nomaguchi, M.
    • 雑誌名

      Microbes and Infection

      巻: 15 ページ: 319-328

    • DOI

      doi: 10.1016/j.micinf.2013.01.005.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Gag-CA Q110D mutation elicits TRIM5-independent enhancement of HIV-1mt replication in macaque cells.2013

    • 著者名/発表者名
      Nomaguchi, M.
    • 雑誌名

      Microbes and Infection

      巻: 15 ページ: 56-65

    • DOI

      doi: 10.1016/j.micinf.2012.10.013.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Interferon-induced SCYL2 limits release of HIV-1 by triggering PP2A-mediated dephosphorylation of the viral protein Vpu.2012

    • 著者名/発表者名
      Miyakawa, K.
    • 雑誌名

      Science Signaling

      巻: 5 ページ: ra73

    • DOI

      doi: 10.1126/scisignal.2003212.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] SAMHD1-dependent and -independent functions of HIV-2/SIV Vpx protein.2012

    • 著者名/発表者名
      Fujita, M.
    • 雑誌名

      Frontiers in Microbiology

      巻: 3 ページ: 297

    • DOI

      doi:10.3389/fmicb.2012.00297.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Species tropism of HIV-1 modulated by viral accessory proteins.2012

    • 著者名/発表者名
      Nomaguchi, M.
    • 雑誌名

      Frontiers in Microbiology

      巻: 3 ページ: 267

    • DOI

      doi:10.3389/fmicb.2012.00267

    • 査読あり
  • [学会発表] HIV-2 Vpx富プロリン領域の機能.

    • 著者名/発表者名
      藤野悠那
    • 学会等名
      第26回日本エイズ学会
    • 発表場所
      慶應義塾大学日吉キャンパス(神奈川県)
  • [学会発表] HIV-1インテグラーゼC末端領域の1塩基置換によるウイルス複製制御機構の解析.

    • 著者名/発表者名
      野間口雅子
    • 学会等名
      第60回日本ウイルス学会
    • 発表場所
      大阪国際会議場(大阪府)
  • [学会発表] SAMHD1非依存的なHIV-2 Vpxの機能.

    • 著者名/発表者名
      藤田美歌子
    • 学会等名
      第60回日本ウイルス学会
    • 発表場所
      大阪国際会議場(大阪府)
  • [学会発表] Vpx発現におけるC末端ポリプロリンモチーフの機能の解析.

    • 著者名/発表者名
      三宅在子
    • 学会等名
      第60回日本ウイルス学会
    • 発表場所
      大阪国際会議場(大阪府)
  • [学会発表] R5-tropic HIV-1mt NL-DT562のEnv適応変異による増殖促進機構の解析.

    • 著者名/発表者名
      土肥直哉
    • 学会等名
      第60回日本ウイルス学会
    • 発表場所
      大阪国際会議場(大阪府)
  • [学会発表] in vitro再構築系を用いたHIV-2 CAアセンブリーの安定性に関する解析.

    • 著者名/発表者名
      宮崎恭行
    • 学会等名
      第60回日本ウイルス学会
    • 発表場所
      大阪国際会議場(大阪府)

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公開日: 2014-07-24  

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