未だ有効な治療法が確立されていない高病原性ウイルス感染症に対する新規抗ウイルス療法を開発する為に化合物ライブラリーから抗ウイルス剤候補物質を探索する。本研究ではウイルスのアッセンブリー、あるいは転写・複製を阻害する化合物の探索をP2レベルで行うことができる新規ハイスループット・スクリーニング系を開発し、化合物ライブラリーから新規抗ウイルス活性物質を同定する。本研究の成果は、様々なウイルスに応用可能であり、新規抗ウイルス戦略の確立に大きな波及効果があると期待できる。 エボラウイルスの粒子形成には構造タンパク質VP40の多量体化が必須である。そこで、VP40の多量体化に重要なC末ドメインの構造解析結果に基づいてin silicoスクリーニングを行い、多量体化を阻害する可能性のある上位374の化合物を選抜し、東京大学創薬イノベーションセンターより入手した。VP40と低分子のレポータータンパク質の融合タンパク質を発現する細胞系で培養上清に出現するウイルス様粒子量をレポータータンパク質の定量によりモニタリングするスクリーニング系を開発し、現在、化合物のスクリーニングを行っている。 ラッサウイルスについても同様に構造タンパク質Zの多量体化を阻害する化合物をスクリーニングする系として、Zと低分子のレポータータンパク質の融合タンパク質を発現する細胞系を確立した。培養上清に産生されるウイルス様粒子量をレポータータンパク質の定量によりモニタリングすることにより、現在、化合物スクリーニングを行っている。
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