本研究においては、独自に樹立した細胞外ATP受容体の一つであるP2X7に特異的な抗体を用いマスト細胞サブセットの解析を行った。その結果、腸管のマスト細胞上にP2X7が高レベルで発現し、炎症性腸疾患の発症経路の一つになっていることを見いだした。さらに腸管以外の組織との比較を行った研究から、P2X7の発現制御因子の一つであるレチノイン酸を繊維芽細胞が分解することにより皮膚のマスト細胞はP2X7の発現が低いこと、本経路が破綻することによりマスト細胞のP2X7を介した皮膚炎の発症につながることが明らかとなった。
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