研究課題/領域番号 |
24659228
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
對馬 均 弘前大学, 保健学研究科, 教授 (10142879)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 介護予防 / 高齢者転倒予防 / ヒッププロテクター / コンプライアンス |
研究概要 |
高齢者の転倒が引き起こす最悪の事態が大腿骨頚部骨折である。したがって、転倒を防いだり、転倒した場合の衝撃力を緩和させることが予防策として重要である。こうした考えに基づいて、1980年代後半から欧米においてヒッププロテクターが開発され、その効果が報告されるようになった。現在、本邦においても数種類のものが市販されている。しかし、そのほとんどが下着に衝撃吸収パッドをとり付けた構造となっているため、「履きにくい」「動きにくい」「見かけが悪い」という理由から、当事者や介護者から敬遠されているのが実情である。そこで本研究では、こうした難点を解消した新しい発想による“エプロンタイプのヒッププロテクター”の装着試験を行い、その効果を証明することを目的として、平成24年度から平成25年度に渡って研究を実施する計画である。 平成24年度には「従来型ヒッププロテクターの問題点の顕在化」をテーマとして、まず介護老人保健施設を研究フィールドとして従来型ヒッププロテクターの受け入れ調査を行った。その結果、介助職員の多くは、衝撃吸収パッドの硬さや厚さの問題、使用者の抵抗感、高い価格といった点を問題にしていることが明らかとなった。また在宅高齢者27名を対象としたモニター調査の結果では、市販HPの最大の問題点は価格であり、HPを装着することへの抵抗感はあるものの、使用するとしたら軟性HPを選択する傾向があることが浮き彫りとなった。次に新型ヒッププロテクターに用いる最適な衝撃吸収パッドを選定するため、高齢者の転倒骨折の際の衝撃力とされる4000Nを再現できる簡易型転倒シミュレーション装置を自作し、市販ヒッププロテクターの衝撃吸収力を発色性の圧センサーシートである“プレスケール”を用いて実測して比較検討を行った。その結果、最適な緩衝材にとして、KCC商会製メモリーフォーム CF-47 が選択された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画での目標であった既存タイプのヒッププロテクターの問題点が調査から明らかとなり、新型ヒッププロテクターの必要性が浮き彫りにされた。 もうひとつの目標であった新型ヒッププロテクターで用いる最適な緩衝材の候補が衝撃実験で絞り込まれた。 以上の点から、研究はおおむね順調に進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度計画 1) エプロン型ヒッププロテクターの設計・試作 方法:前年度に行った既存タイプのヒッププロテクターのモニター調査の分析結果と転倒衝撃力分析結果に基づき、従来とは発想の異なる機能性・ファッション性に富み、かつ効果的なエプロン型ヒッププロテクターの設計・作製を行う。エプロンの素材にはデニム布を使用、衝撃吸収パットは低反発ポリウレタン(KCC商会製メモリーフォーム CF-47)を用いてエプロンのポケットに着脱可能とする。 2) 試作したエプロン型ヒッププロテクターの装着調査・効果判定 対象と方法:初年度に訪問調査を実施した施設をフィールドとして、試作したエプロン型ヒッププロテクターのモニターテストを実施する。同意の得られた対象者(要支援1・2、要介護Iレベルの高齢女性)に対して、エプロン型ヒッププロテクターの装着感、使用感などについて聞き取り調査を行い、受け入れ度について評価を行うとともに、転倒骨折予防に果たす効果について考察する。得られた成果を国内外の関連学会で報告する。
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次年度の研究費の使用計画 |
エプロン型ヒッププロテクターの製作費 エプロン型ヒッププロテクター衝撃吸収実験消耗品 施設訪問調査旅費 成果発表旅費
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