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2013 年度 実施状況報告書

臨床推論学習とコミュニケーション学習を融合した医療面接実習方略の構築とその評価

研究課題

研究課題/領域番号 24659239
研究機関名古屋大学

研究代表者

伴 信太郎  名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40218673)

研究分担者 西城 卓也  岐阜大学, 医学部, 講師(Lecture) (90508897)
キーワード外来診療実習 / 医療面接 / コミュニケーション / 臨床推論 / 学習方略 / 卒前教育 / ロールプレイ / 患者医師関係
研究概要

【平成25年度の研究実績】平成25年度は、前年度(平成24年度)名古屋大学医学部医学科5年生の臨床実習班に対して行ったフォーカスグループの音声データ(11グループ、計58名分)に関して、質的分析を行った。特に分析の際、本実習の特色である「外来実習プログラムとコミュニケーション実習プログラムを融合させ、臨床推論とコミュニケーションの学習を融合させるために、実際の患者情報をもとに学生に患者役を演技させて医療面接ロールプレイを行う方略」が、実際に学生の患者の視点の理解にどのような効果をもたらしているのかについて着目した。平成25年度中に全11グループの分析をほぼ終了し、本実習の教育的効果として測定する「患者の視点の理解」について理論構築を行った。「患者の視点の理解」に関する学生の認識の深化については、さらに追加して分析する必要が生じたため、平成25年度名古屋大学医学部医学科臨床実習班(17グループ)のうち1グループに追加インタビューを行った。同意を得られた学生計6名に対して、半構造化した質問をもとにフォーカスグループを行った。その際これまでの理論をふまえ、理論強化に直接的に反映可能なデータを収集するため、特に、本実習のロールプレイの際に実際の患者情報を用いることの意義やそれに影響しうる要素(実際の患者の特性や、学生の学習環境、学生自身の前提知識)に焦点化してフォーカスグループを行った。昨年度までに収集した音声データに関する分析の成果については第45回日本医学教育学会(平成25年7月、千葉大学、千葉県千葉市)にて発表を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現在までに医師役・患者役・聴衆役へのフォ-カスグループおよび逐語録による分析をほぼ終了している。平成25年には構築された理論をもとに追加フォーカスグループを行い、平成24年・25年を合わせて12回のフォーカスグループを行っている。これらのインタビューに関する逐語録からの質的分析の結果、以下のような理論が生成されている。患者役の学生は実際の外来において学生・実際の患者・指導医との相互行為をもとに実際の患者に関する視点(考え、関心、期待、感情)や行動特性について、言語的メッセージだけでなく非言語的メッセージもふまえて学習を深めている。この実際の外来での学習から、患者役学生は、聴取されるべき重要点を認識し、ロールプレイにおいて医師役から“聴取される期待”をする。その上でロールプレイによる相互作用を通じて、患者役学生は“聴取される期待”が達成される際の満足感や、達成不十分である際の不満足感を感じ、一般的な患者としての疑似体験を行っている。この疑似体験は、一般的な患者に生じうる感情や行動特性についての理解を深めるとともに、患者役自身の医療面接技術に関する振り返りを促している。さらに、実際の外来およびロールプレイにおける患者役の学習は、ディスカッションという患者役・医師役・聴衆役の相互作用によって、患者役から医師役・聴衆役に拡散していることが判明している。これらは我々が目的とした本実習の教育的効果の測定および理論生成に迫るものであり、おおむね順調に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

(概要)国内・国外の学会にて学会発表を行い、英語論文作成を行う。その過程で理論に補強すべき点が生じた場合、平成24年・平成25年と同様に、平成26年度名古屋大学医学部医学科5年生に対して、本実習終了後に半構造化した質問項目をもとにフォーカスグループディスカッションを行う。質問項目は以下に基づく、調査①:患者役が提示する情報に対する現実性の認識と、生物学的・心理社会的側面の患者理解について、調査②:自分がみた患者の経過に基づいて患者役を演じたことに対する学習効果について、調査③:ビデオ学習による医療面接・コミュニケーション能力の学習効果について。

次年度の研究費の使用計画

購入予定した図書について、在庫不足により年度内に納入ができなかったため。
当該図書またはそれに代替する図書の購入に充てる予定。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] How to change the health-care system and the medical education system when facing an ageing society: the Japanese experience2014

    • 著者名/発表者名
      Nobutaro Ban
    • 雑誌名

      PRINCE MAHIDOL AWARD CONFERENCE 2014- Transformative Learning for Health Equity

      巻: 1 ページ: 284-287

  • [雑誌論文] Transformative learning for health equity2013

    • 著者名/発表者名
      Nobutaro Ban
    • 雑誌名

      BMJ

      巻: 346 ページ: f1643

    • DOI

      10.1136/bmj.f1643

  • [雑誌論文] 医療者教育の現状と展望2013

    • 著者名/発表者名
      伴信太郎
    • 雑誌名

      Dental Medicine Research

      巻: 33 ページ: 156-162

  • [雑誌論文] 医学教育における効果的な教授法と意味のある学習方法(1)2013

    • 著者名/発表者名
      西城卓也、菊川誠
    • 雑誌名

      医学教育

      巻: 44 ページ: 133-141

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 医学教育学ベーシック(第1回)2013

    • 著者名/発表者名
      西城卓也、田川まさみ
    • 雑誌名

      医学教育

      巻: 44 ページ: 90-98

    • 査読あり
  • [学会発表] Does the spontaneous role-play based on real patient interview have an impact on medical students’ understanding of patients’ perspectives?2013

    • 著者名/発表者名
      Noriyuki Takahashi, Takuya Saiki, Muneyoshi Aomatsu, Nobutaro Ban
    • 学会等名
      第45回日本医学教育学会大会
    • 発表場所
      千葉県千葉市、千葉大学
    • 年月日
      20130727-20130728

URL: 

公開日: 2015-05-28  

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