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2012 年度 実施状況報告書

医療イノベーションの開発と醸成に適した共通基盤の構築

研究課題

研究課題/領域番号 24659244
研究機関札幌医科大学

研究代表者

石埜 正穂  札幌医科大学, 医学部, 教授 (30232325)

研究分担者 飯田 香緒里  東京医科歯科大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (90570755)
西村 訓弘  三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30402689)
小野寺 理恵  札幌医科大学, 医学部, 講師 (60393328)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワード国際情報交換 / フランス / イギリス / アメリカ / ベルギー
研究概要

再生医療材料や先端医療機器等のシーズの実用化における開発促進・効率化のインフラを築く為の基礎づくりを行う本研究の目的を達成するため、本年度は夫々の計画項目に沿い以下の事業を行った。
・各医学研究機関やベンチャー企業が直面している構造的な課題の分析:札幌医大臨床研究シーズに関するPMDAの戦略相談に積極的に参加した。微生物検査のバリデーションを旧式のものに頼らざるを得ない課題や、安全な生物材料入手における課題など、開発者同士で共有すべきリソースの利用における課題が浮き彫りになった。
・課題解決のために必要とされるインフラの見極め:厚生労働省医政局・PMDA・国立衛生研究所にヒアリングを行った。C-Path主導で腎臓障害バイオマーカーがPMDAに持ち込まれた資料はあったが、あくまでも薬事承認に向けたステップの枠組みの中で検討がなされたにすぎず、開発者同士で共有すべきリソースも、それぞれの開発シーズに付随して評価を行わざるを得ない現状が再確認された。
・海外における先進事例の収集:イギリスMRCTでは再生医療等開発の共通基盤となり得るスコットランドコホートの構築に関する情報を得た。フランスINSERMでは治験推進の共通基盤として機能しているCIC、欧州内多国籍臨床研究を連結サポートするECRIN、医薬開発プロセスの改善を目標とするヨーロッパ最大の官民パートナーシップIMIの情報を得た。CIC は各ユニットが2~6病床・20~30名の専門スタッフを抱え、フェーズI/II試験および高度なフェーズIIIの臨床試験に特化した理想的なサポートシステムである。ECRINは情報提供、特に研究者の発意や小規模企業がスポンサーとなる治験等に関するコンサルティング、プロトコールを作成などのサービスに威力を発揮している。IMIはFP7や企業の予算で動く欧州機関で、C-Pathの試みと類似のビジョンを持っていた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

交付申請書に記載した「研究の目的」を達成するための3つの計画項目については順調にすすめることができた。すなわち、PMDAの戦略相談参加、厚生労働省医政局・PMDA・国立衛生研究所へのヒアリング、イギリスMRCTおよびフランスINSERMの訪問を介して、本課題の検討に必要な検討材料を入手することが出来、本課題をとりまく環境の俯瞰と、課題解決のための具体的な戦略を策定することが可能になった。また、抽出された課題のフォローをおこなうための研究会(産学連携学会TR研究会)を立ち上げることができた。一方で、抽出や分析が不十分な部分だった部分もあったので、次年度はそれらを含め活動をステップアップしたい。例えば、学会等の要望や自らの判断に基づいて、国立衛生研究所等でも共有すべきツールのバリデーションが行われているものの、日本薬局方に掲載される等の「市民権」を獲得するまでのステップに関して、先端医療の共通ツールという側面からは必ずしも明確化できなかった。また、L-FABPのように大学と民間で開発された尿細管機能障害バイオマーカーも見出されたことから(但しこのバイオマーカーは腎疾患の診断用途の体外診断用医薬品として承認を受けている)、他の可能な動きについても、もう少し調査する必要性を感じた。次年度の検討課題として重視したい。また、計画の4項目目(C-Path やPMDA 関係者と適宜連携をとりながら、課題解決に向けた可能なインフラ構築や政策提言の検討を行う)について、時間の関係から十分な検討が行えなかった。ひきつづき情報収集と検討をすすめたい。

今後の研究の推進方策

24年度は、必要資料の購入が年度末となって執行が一部間に合わなかったため、4万円余を25年度に繰り越し改めて購入することとした。
25年度は、米国アリゾナ州C-Path(またはベルギーのIMI)の訪問を計画している。C-Path/IMIは低分子医薬の開発の促進において効果的な戦略を展開している。これら機関の最近の具体的な取り組みと課題、およびFDA/EMEAとの連携方法等についてヒアリングを行い、本検討を行うための資料とする。
医学研究機関やベンチャー企業が個別に進めている医学研究シーズの実用化推進の場面において、細胞や組織等を用いた製剤の品質の評価・毒性試験方法や臨床での効果や安全性の評価の効率化という側面で直面している課題については、前年度にひきつづいて、レギュラトリーサイエンス学会、再生医療学会への参加、他機関へのヒアリング、PMDAや国立衛生研究所関係者とのディスカッションを介して抽出し、横断的な分析に繋げる。
さらに、medU-net の活用や、TR研究会の活動を生かし、課題の検討を行うとともに、ミナー・ワークショップを開催し、それらの解決手法について専門家同士のディスカッションを行い、必要となるインフラの見極めを行う。
昨年度は、ヨーロッパにおける研究所主導治験の枠組みやコホート研究体制の概観を理解することが出来たが、細部の課題につきさらに資料を取り寄せ検討する必要があり、これを遂行する。特にIMIの試みに関する詳細な情報を得て、これを検討上の参考とする。

次年度の研究費の使用計画

24年度から繰り越した4万円余は、参考文献の購入に使用する。25年度の予算に関しては、まず米国アリゾナ州C-Path(またはベルギーのIMI)訪問のための旅費として40万円を使用する。研究打ち合わせ、レギュラトリーサイエンス学会、再生医療学会への参加、他機関へのヒアリング、PMDAや国立衛生研究所関係者とのディスカッション、medU-net やTR研究会の活動のための旅費および活動費として30万円を使用する。同様な活動のため、研究分担者の飯田に30万円、同じく小野寺に10万円を分配する。C-Path/IMIその他に関する情報収集やデータ解析に必要な経費として10万円、配布物印刷その他経費として10万円を使用する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] iPS細胞技術に関する特許出願と再生医療における今後の研究開発2013

    • 著者名/発表者名
      石埜 正穂
    • 雑誌名

      研究開発リーダー

      巻: 9(11) ページ: 8-11

  • [学会発表] 医学研究シーズと知的財産的課題2012

    • 著者名/発表者名
      石埜 正穂
    • 学会等名
      日本知財学会第10回年次学術研究発表会
    • 発表場所
      大阪
    • 年月日
      20121208-20121209
  • [学会発表] バイオ・ライフサイエンス分野における大学の知財確保の取り組みと現状の分析2012

    • 著者名/発表者名
      森田裕・石埜正穂・金丸清隆
    • 学会等名
      日本知財学会第10回年次学術研究発表会
    • 発表場所
      大阪
    • 年月日
      2012-12-08

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公開日: 2014-07-24  

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