研究概要 |
平成24年度の研究計画に沿って成果をみると、①BCP策定の事前概要調査(BCP策定支援ツール提供(前)における医療機関のBCP策定状況調査)については、全国8,605病院中の約9割を占める400床未満の病院(第3回病床機能情報の報告・提供の具体的なあり方に関する検討会.厚生労働省2012)より721施設に対して郵送調査法によるアンケート調査を実施した結果、85施設より回答(回収率11.8%)を受けた。 この結果、策定済みは14.1%と判り、平成21年の内閣府調査時のBCP策定済みと回答した4.8%に比較して9.3%改善している状況であった。これは、中小企業16,000社のBCP策定率4.8%(信用金庫 中小企業活況レポートNo.147 2012)よりも高い策定率であり、本研究にて無償公開するBCP策定支援ツールは、医療機関のBCP策定率の更なる向上に貢献できると考える。 次に、②BCP策定実地詳細調査として関東地域近郊の、「インフラ別BCP策定支援ツールの協力病院となる医療機関約100施設に対して訪問調査」については、申請時の想定予算が獲得できなかったことから、研究全体に渡り予算配分の見直しを行ったところ3施設にて実施することとした。しかし訪問調査の目的とした評価基準の設定は、研究計画の通り病院種別や診療提供機能別に分けた上で、インフラ別にBCP対応状況を定めることができた。この内容は、第32回日本医療情報学連合大会(2012)にて成果発表した。 この評価基準と定めた内容は、BCP策定においてI災害対策、IIインフラ状況、III施設概要の3つの領域を大項目とし、一つ下の階層として11分類の中項目を定め、更に具体的なBCP策定に必要な内容を詳細項目とする、3段階に階層化と分類化を進めて網羅性を高めたことで精度向上につながり、BCP策定支援ツールとしての基本設計は整ったと考える。
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次年度の研究費の使用計画 |
繰越額が390,627円と算定されているが、当初平成24年度で実施予定の分担研究者分担金100,000円と謝金50,000円について平成25年度に実施するよう変更した。さらに、物品費と旅費ならびにその他より約240,627円が繰越金となった。 一方、ツール作成プログラム開発費は、アンケート設計時に訪問調査した3施設共通の面談課題事項として、「病院長に提示するBCPプランが、理解と納得感を得るためには、BCPの視覚的に捉える等の対応が必要で、そのためには、散布図と折れ線チャート図を織り交ぜて提示されることが最も判り易い」との指摘が新たに上がった。従って、平成25年度に実施予定としているプログラム開発(645,000円)においては、面談課題事項とした指摘内容を反映させるべく、繰越金の活用が必要となることも見込まれている。 平成25年度の研究費(繰越金を含む)は、1,190,627円である。使用内訳は、研究計画の通り、BCP策定支援ツールのプログラム開発に約645,000円、協力医療機関(10施設程度)への訪問フィールドテストに約200,000円、成果発表(約3回)に60,000円、分担研究者費用に200,000円、謝金に50,000円、BCP策定支援ツールの利用機関に対する成果物発送の通信費に約20,000円、成果物作成のためのBCP関係書籍購入に約15,000円を計画している。
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