研究課題/領域番号 |
24659251
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
根東 義明 日本大学, 医学部, 教授 (00221250)
|
研究分担者 |
森本 哲司 日本大学, 医学部, 助教 (10344657)
渋谷 昭子 日本大学, 医学部, 助手 (20611619)
近藤 克幸 秋田大学, 医学部, 教授 (30282180)
高橋 昌里 日本大学, 医学部, 教授 (60328755)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | インシデント分析 / 思考過程 / 医療過誤 / 医療安全 |
研究概要 |
研究初年度にあたる平成24年度には、まず思考インシデントをどのように分類し、その全体像を明らかにすることによって、実際の調査に必要とされる調査用紙での項目設定を明確化することをめざした。 思考インシデントにおいては、その前提として実際に起こるインシデント以前に、思考段階のみで終わる思考内インシデントの分類がまず重要であるとの認識において、研究者全員の意見が一致し、その前提のもとに思考過程の分類が進められた。 その中で明らかになったことは、すべての思考過程には、思考を開始するに至る感性の動きが存在し、その感性の上に立った論理の開始が起こっているということが、これまでに報告されてきた通常インシデントの遡及的結果分析から示唆された。 そこで、この論理に立ってまず感性の分類を行うこととなった。感性は通常、「喜怒哀楽」で分類表現されるが、さらにこの分類に別の分類ベクトルとして、時間経過を与えると、「突発的・緩徐的」、また「単発的・反復的」という新たな方向からの分類がなされる。これらの分類は、すべて相互に組み合わせて考えることが可能であり、したがって全分類を網羅するならば、4x2x2=16分類を前提とした感性ほ構造化が可能となることが示唆された。 次に、感性の次に始まる論理過程における思考自体の分類を考えた場合に、思考を同様にして分類していくと、まずは「分別・連関・順列・演算」に大別することが、思考インシデントの体系化にとって有用であるとの結論に達した。また、たとえば分別には同定・分割などの細分類化を今後加えていくことで、調査における精度の向上が考えられる。 平成24年度は、このようにインシデントの遡及的分析により、思考インシデント分析のもっとも基本となる思考過程の感性・論理の分類体系のまとめを行うことができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度には、思考インシデントレポートの調査用紙を完成させ、さらに分析のための電子情報ツールを作成することが課題だったが、思考過程をどのように分類するのかが大変難しい研究課題であったため、より精密な分類が調査用紙や分析ツール作成以前の大きな研究上の障壁となり、思考インシデントの体系分類の確立のために多大な試行錯誤を繰り返すこととなった。結果的に納得し得、また調査に耐える分類体系を得ることはできたが、このために平成24年度に当初予定したすべての研究課題を完了することができなかった。 また、部分的にツールの作成も並行して進めることも検討したが、限られた予算配分の中でこれらを同時に進行させることは事実上不可能だったため、平成25年度に持ち越して残された課題を完了することとし、残念ながら研究が計画よりはやや遅れることとなった。
|
今後の研究の推進方策 |
研究の方向性を修正することは必要のないことであり、平成24年度に達成できなかった調査用紙の内容の確定と、その分析を行うことができる統計解析ツールの作成を平成25年度に実施し、さらに平成25年度に当初から予定していた医療機関での調査活動を実際に進めるべく、医療機関への働きかけを行い、研究を前進させる予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の予算は、すでに思考インシデントの分類体系の確立のための情報収集と分析に充てており、残された調査用紙・分析ツールの作成は、平成25年度の予算を充てることにより実現する予定である。また、実際のフィールド調査にも、同様に平成25年度の予算を活用する予定である。
|