研究課題/領域番号 |
24659255
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
谷内 一彦 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50192787)
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研究分担者 |
吉川 雄朗 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70506633)
渋谷 勝彦 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 技術補佐員 (30596268)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | トランスレーショナルリサーチ / 薬理学 / 放射線 / 脳・神経・脳神経疾患 |
研究概要 |
小動物用PET/CTを用いた分子イメージング研究:薬物のADMEの分子イメージング:マーモセットを用いて分子イメージング法により薬物における吸収・分布・代謝・排泄(ADME)をイメージングする前段階として、ラット・マウスを用いて研究を実施した。 [11C]Doxepin、[11C]Donepezil、 [11C]Racropride、[11C]BF227を用いて、齧歯(げし)類とヒトの体内動態を比較した。今まで前臨床試験として行われていなかった抗ヒスタミン薬の受容体占拠率測定を[11C] ドキセピンとマーモセットと同じ体重のモルモットを用いて行った。レボセチリジン (1 mg/kg, PO) がモルモットの脳内のH1Rにほとんど影響を及ぼさなかったのに対して、第一世代抗ヒスタミン薬であるジフェンヒドラミン (20 mg/kg, PO) は多くの受容体を占拠していた。脳内移行性に関する小動物PET/CTを用いた分子イメージングは前臨床試験として有用な方法であることを明らかにできた。 小動物用PET/CTを用いた脳内ミスフォールデイング蛋白質の分子イメージング:神経変性疾患に蓄積する異常蛋白質(アミロイドβ、タウ、αシヌクレインなど)に結合する低分子標識化合物による分子イメージングの開発のために前臨床評価を行った。神経変性疾患に蓄積する異常蛋白質であるアミロイドβ、αシヌクレイン、プリオンに結合する低分子リード化合物BF-227誘導体を用いてPET分子イメージング法の前臨床研究を行なった。またタウ蛋白に結合特性があるTHK523とその誘導体をポジトロン(18F)で標識して基礎研究を行い、インビトロ、インビボにおいてタウ蛋白に特異的結合することを見出した。さらに小動物用PETを用いて評価し、タウトランスジェニックマウスでのタウ蛋白の分子イメージングに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
遺伝子改変マウスの薬理学的解析は飛躍的に進み、医学生物学に大きな貢献をしている。しかし、ヒトに特異的な薬理的反応や薬物動態学的モデルとしては、マウス・ラットは系統発生樹の上からもヒトからかけ離れていて適切とはいえない。一方、ヒトと同じ真猿類に属するコモンマーモセット(以下マーモセット)は、他の霊長類と異なって実験動物としての資質が整っており、目的繁殖されているため動物福祉上の問題は少なく、EU諸国では他の真猿類に変わって研究に使用され始めている。しかし、マーモセットの薬理学研究は未だ充分になされていない。本研究では、創薬研究モデル動物としてのマーモセットについて萌芽的研究を実施する。1年目としてマウス・ラット・モルモットを用いてイメージング研究を実施したが、マーモセットを用いた研究までは進めなかった。マーモセットを導入するには、獣医の監督が必須であるが、動物実験施設の教授選考の遅れから平成25年度から実施することとした。それ以外では十分にイメージング研究を実施できた。
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今後の研究の推進方策 |
マーモセット専用のケージを導入して対外計測・センサーを設置してマーモセットを用いた神経行動薬理学研究法の確立する。マーモセットの行動量を自動計測できるようにセンサーを設置して24時間の自発運動量を自動計測する。ラックと同時に移動できるように設置してする。さらに自動給水器を設置してそこにセンサーを設置して飲水量を自動計測する。雌雄両性による違いと繰り返し測定における変化等を調べる。通常環境下における日内リズム、新規環境下における行動を非侵襲的に計測する方法を確立する。特にGender による違いを明らかにするために雄、雌を購入してその違いを明確にする。麻酔、採血、採尿、副作用の少ない薬(鎮静性抗ヒスタミン薬など)の反応性を少ない匹数(最大4匹)で調べる方法を確立する。 小動物用PET/CTを用いた分子イメージング研究:薬物のADMEの分子イメージング比較研究と被ばく量推定法の確立を目指す。マーモセットの静脈・経口の投与方法を確立して、サイクロトロンで合成された短寿命放射線医薬品を静脈内あるいは経口投与して分子イメージング法により薬物における吸収・分布・代謝・排泄(ADME)をPETイメージングする。臨床研究に用いている分子プローブを用いて、マウス・ラット・マーモセット、ヒトの体内動態を比較する。小動物用PET/CT(島津製作所Clairvivo PET/CTと東北大学が開発した半導体小動物用PET)を用いてマウス、ラット、マーモセットのイメージング研究を行う。またヒトは新規に導入した3次元データ収集PETカメラを使用する。このような種差に基づく比較研究は殆どなされていない。種差に基づく比較研究は殆どなされていない。さらに得られたデータから被ばく量を計算し、比較・検討する。ヒトの被ばく量推定に最も近い方法を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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