研究概要 |
① 2本鎖ASOの鎖長及び各種化学修飾の最適化 cRNAについては、両末端にPS及び2’-O-メチル修飾(2’-OMe)を加えているが、核内でRNaseHに認識され、切断されるために中央部のDNAと相補となる部分に化学修飾を加えていない。そのため標的細胞である肝細胞に辿りつくまでに分解されている危険性がある。cRNAの中央部についても各種化学修飾を試み、ホスホロチオエート結合修飾を行なっても有効性に問題ないことが判明した。 ② 複数の標的遺伝子に対するdsASOの有効性の確認 肝臓において発現している各種内在性遺伝子のうち、これまでに確認できたマウスアポリポ蛋白Bに対する有効性のみならず、ヒトトランスサイレチン遺伝子を導入した遺伝子改変マウスにおいて、ヒトトランスサイレチンに対する有効なビタミンE結合dsASOの開発に成功した。アポリポ蛋白Bと同様、0.75mg/kgという低用量で90%以上の標的遺伝子発現抑制効果を確認した。 ③ dsASOの生体内分布の確認 5'末端に蛍光物質を導入したASOと、3'末端にトコフェロールを結合したcRNAをアニーリングして蛍光物質導入Toc-dsASOを合成した。マウスに静脈投与し、生体イメージングシステムIVIS imaging system (Xenogen Corp., Hopkinton, MA)を用いて生体内でのToc-dsASOの分布を観察した。その結果、一本鎖では投与7日後に全身に拡散して存在するのに対して、Toc-dsASOでは投与6時間後に既にほぼ肝に限局したデリバリーを確認した。このことから、Toc-dsASOの肝特異的なデリバリーを確認できた。
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