研究課題/領域番号 |
24659261
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松田 敏夫 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (00107103)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | セロトニン1A受容体 / シグマ1受容体 / ドパミン遊離 / 前頭葉 / 神経ステロイド / 副腎摘出 / 睾丸摘出 |
研究概要 |
神経ステロイド非存在下でのセロトニン(5-HT)受容体、シグマ1受容体のシグナル間相互作用による前頭葉ドパミン(DA)神経活性の調節の分子基盤の解明を目指し、24年度は以下の成果を得た。 1.相互作用に関わる5-HT受容体サブタイプの同定:選択的5-HT再取り込み阻害薬(SSRI)の作用は細胞外5-HT量の増加を介する5-HTシグナルに起因しているので、その分子機構の追究には5-HT受容体サブタイプの同定が重要である。本研究では、5-HT受容体サブタイプ(5-HT1A、5-HT2、5-HT3、5-HT7)のアンタゴニストを用い検討した結果、5-HT1A受容体が関わっていることを見出した。すなわち、SSRIでシグマ1受容体親和性のあるフルボキサミンのDA遊離増強作用が5-HT1A受容体アンタゴニストにより遮断されること、また5-HT1A受容体アゴニストとシグマ1受容体アゴニストの併用でフルボキサミンの作用が再現されることを示した。 2.5-HT受容体とシグマ1受容体のシグナル間相互作用の神経回路の同定:マウス脳各部位のc-Fos発現の解析から、腹側被蓋野―前頭前野皮質経路の活性化が重要であることを見出した。 3.相互作用発現の神経ステロイドによる制御機構:DA神経細胞であるSH-SY5Y細胞を用い、細胞内Ca2+シグナルを指標として検討した。5-HT1A受容体、シグマ1受容体が本細胞に発現しているこは確認できたが、5-HT1A受容体アゴニスト、シグマ1受容体アゴニストのシグナル間相互作用を検出することは出来なかった。本成績は、5-HT1A受容体とシグマ1受容体のシグナル間相互作用が同一の細胞内で起こるのではないことを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
SH-SY5Y細胞で細胞内Ca2+レスポンスを指標として受容体シグナル間相互作用を検出できなかったので、より複雑な系での相互作用が示唆されたため。
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今後の研究の推進方策 |
c-Fos発現の検討から相互作用に関わる神経回路を同定できたので、この結果をさらに発展させるべき研究をすすめていく。すなわち、当初は単一細胞での相互作用解析を進める予定であったが、相互作用が単一細胞で見られなかったので、細胞内シグナル分子の解析は行わず、本研究で明らかにした神経回路での薬効評価系の構築を図る。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当ない
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