研究課題
当初の予定に沿って,肺がん細胞株18株および肺がん切除サンプルにおいてSTAG2,SMC1A,SMC3,RAD21についてゲノムDNAのPCRを行い,塩基配列決定を行った.SMC3に既報のアミノ酸変化を伴わない1塩基多型が,RAD21にも既報のアミノ酸変化を伴わない1塩基多型が見られたが,その他には突然変異が見られなかった.このため研究対象を変更した.近年,mRNAの3'非翻訳領域はマイクロRNAとの結合で転写後翻訳調節に重要な役割を果たしていることが,様々な研究によって明らかにされたが,2009年に,様々ながんにおいてmRNAの3'非翻訳領域の短縮が見られることが報告された[Mayr C and Bartel DP, Cell, 2009].そこで申請者らは,米国国立生物情報センター(NCBI)に登録されている肺腺がん40例,扁平上皮がん18例と正常肺3例の発現プロフィールを統計パッケージR上のBioconductorのパッケージR-modelを用いて,原発性肺がんで3'非翻訳領域が短縮している遺伝子10個を同定した.これらはいずれもがん遺伝子ではなく,またがん抑制的に働くとされるマイクロRNAの結合部位を認めなかった.Test setとして肺がん47例,正常肺4例を用いて解析を行ったところ,10遺伝子で5個以上の遺伝子で3'非翻訳領域で短縮が見られる症例で無再発生存率の短縮を認めた.Validation setとして肺がん100例,正常肺6例を用いても同様の結果が得られた.また,3’非翻訳領域の短縮を抑制する機能が最近明らかにされたPABPN1[Jenal P et al, Cell, 2012]についても,3’非翻訳領域で短縮の見られる症例では発現の低下を認めた.これらの結果と臨床病理的特徴について解析を行い,アメリカがん研究学会および国際肺がん研究協会の学会で発表を行い,現在論文投稿中である.
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