研究課題
In virtoでのインフルエンザウイルスNS1によるサイトカイン遺伝子発現の調節を実施した。ヒト肺上皮細胞株(A549およびH292)に、インフルエンザウイルスH1N1あるいはH5N1それぞれのNS1遺伝子を導入し、そのNS1導入細胞にRSL1リガンドによってNS1を条件的発現誘導する系を利用できるように設定した。RSL1リガンドの刺激条件として500 nMで24時間刺激することがサイトカインmRNAの発現誘導に適していることが分かった。そこで、H5N1-NS1導入A549およびH292細胞、とH1N1-NS1導入A549およびH292細胞を500nM RSL1リガンドで刺激した時に、インタフェロン(IFN)-α, IFN)-β, IL-6, IL-8の発現の相違を調べた。その結果、RSL1リガンドの誘導によって、H5N1-NS1細胞ではIL-6およびIL-8の発現がH1N1-NS細胞1よりも強く発現した。これは、H5N1インフルエンザウイルスによって誘導されるサイトカインストームは、H1N1インフルエンザウイルスより強いことを示唆している。これらのin vitroでのサイトカインの発現が、生体でのインフルエンザウイルスNS1によって誘発する劇症化を裏付けるものと考えられる。
2: おおむね順調に進展している
おおむね予定通りに進んでおり、今年度は、in vitroでのインフルエンザウイルスNS1がサイトカインの発現にかかわることを明らかにし、かつインフルエンザウイルスH5N1とN1N1が持つNS1がその発現量を調整している可能性を示すことができた。
インフルエンザウイルスNS1にターゲットして抗インフルエンザの治療薬の開発につなげる。たとえば、これまで我々がインフルエンザウイルスを接種することにによって誘発される劇症化肺炎を呈するモデルマウスで有効性を示したLeukomycin (Josamycin)の作用点がNS1誘導以後のカスケードに作用するかを解明する。それが解明できれば、それをターゲットとしてインフルエンザ誘導の劇症化肺炎の治療薬のエビデンスにする。そして、関連したマクロライドの探索を行う。
インフルエンザウイルスの遺伝子タンパク質の構造解析はほぼ終わっている。残りの遺伝子の配列を4月中旬までに完了する作業があったため。
残る遺伝子配列の解析
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 6件)
J Leuko Biol.
巻: in press ページ: in press
Scientific Rep
巻: 4 ページ: 6406
10.1038/srep06406