研究課題
本研究では、白血病の診断のため、必ず施行される血液塗沫標本から芽球のみを抽出し、予後因子解析に必要な量のmRNA及びcDNAを採取する方法を確立した。本研究により、従来から報告されている予後因子のより正確な検討が可能になるだけでなく、新規の予後因子(遺伝子発現量や変異)の同定が可能となる。本研究は「急性骨髄性白血病および骨髄異形成症候群の新規予後因子探索」として、京都大学医学部医の倫理委員会に承認済み(承認番号G-516)であり、患者保護者の同意を得てTAM(ダウン症候群に合併した一過性骨髄増殖症)2症例、及びAML-DS(ダウン症候群に合併した急性骨髄性白血病)患者1症例の診断時の検体から、laser microdissection systemで解析可能な特殊フィルムをコーティングしたスライドグラスに血液標本を作製し、laser microdissection systemで芽球のみを抽出し、cDNAからGATA1遺伝子変異が通常の骨髄液の解析時と同様に検出された。また、mRNA検体からGAPDHのバンドの同定及びCXCR4発現量の測定も定量PCR法にて可能であった。以上より、mRNA及びcDNA抽出の系の確立に成功したことが証明された。現在、小児白血病リンパ腫研究グループ(JPLSG)臨床試験(AML-D11)において付随研究を遂行中であり、AML-DS及びTAMの患者検体から芽球と正常血球(骨髄球、単球、好中球、リンパ球、好酸球)を分離して、新規の遺伝子変異の同定を次世代シークエンサーにて解析する。また、京大血液内科でフォロー中の骨髄異形成症候群の患者検体を用いて、芽球、リンパ球、好中球、好酸球、単球、骨髄球を分別、抽出し、芽球と同様の遺伝子変異解析があるかどうかを次世代シークエンサー法で同定する。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件) 図書 (2件)
Leukemia
巻: 27 ページ: 2413-2416
10.1038/leu.2013.153.
Int J Hematol
巻: 98 ページ: 578-588
10.1007/s12185-013-1492-2