研究概要 |
本年度は、研究代表者の職場が変わり、十分な研究時間がとれなかったが、次年度に向けて情報収集と考察を行っており、ヒトのサイログロブリン、TSH受容体とβアクチン遺伝子について高効率RT-LAMP法を開発するためのRT-LAMP法用のプライマーの設計や検証用cDNAの準備をしている。このような情報収集・考察・準備により次年度のRT-LAMP法での高効率増幅系の技術開発がスムーズに進むとようになる。 Loop-mediated isothermal amplification法(LAMP)法は我が国で開発・実用化された遺伝子増幅法でPCRより簡便・迅速ながら増幅効率は比肩する。LAMP法は6箇所の塩基配列を認識するので2箇所のPCR法に比べてバックグラウンドが低いことも利点である。RT-LAMP法はその発展系で、逆転写酵素を添加することにより1つのtube内でRNAから逆転写,遺伝子増幅までを1ステップで行いリアルタイムに定量する。これらの方法により増幅に最も適したプライマーが得られれば検体に10コピーのmRNAを30から60分間で高感度に検出できる。このような高感度の測定系の存在を前提とすると、組織特異的な転写因子などの従来の測定系では測定感度が不十分であったり腫瘍が悪性かの鑑別診断に役立つとは思われていなかったために計測されていなかった遺伝子の発現レベルが解析可能となるものと考える。
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