研究課題/領域番号 |
24659280
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
東山 繁樹 愛媛大学, プロテオ医学研究センター, 教授 (60202272)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | プロテオミクス / 蛋白質絶対定量 / 炎症 / MRM / 無細胞蛋白質合成 |
研究概要 |
炎症関連マーカー蛋白質候補として、ケモカインとその受容体、サイトカインとその受容体、免疫関連因子、プロテアーゼとそのインヒビター等、多数の膜タンパク質を含む238種のリコンビナントタンパク質を、当大学のコムギ胚芽を用いた無細胞タンパク質合成技術により作成すると同時に、安定同位体標識し、定量解析用の同位体標識炎症関連標準タンパク質ライブラリーiSIRPLを構築した。さらに本リコンビナント内部標準タンパク質には合成の際に、N末端に独自に開発したTIPs (Tandem Internal standard Peptides)タグを付加し、TIPs タグを内部標準に用いて、合成タンパク質の絶対量を質量分析計で定量化することが可能となっている。さらに、これら238種のリコンビナントタンパク質を質量分析し、各タンパク質のイオン化ペプチド(プロテオタイピックペプチド)を決めた。これは、来年度に計画しているMultiple Reaction Monitoring (MRM)解析システムの構築に必須の基本情報となる。絶対定量技術の開発に加えて、質量分析計の検出感度とダイナミックレンジの向上は、プロテオーム解析において極めて重要な課題である。従来の質量分析システムでは、複雑なプロテオームの全体像を捉えることはできず、そのため検出感度と検出範囲に優れた解析技術の導入が、本研究の推進には必要不可欠であることから、最新のトリプル四重極型質量分析計(AB-SCIEX QTRAP5500)を用いた、高感度(アトモルからフェムトグラムレベル)で、かつ検出のダイナミックレンジも105~6と広いMRM解析システムを構築して行く。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画通り、炎症関連マーカー蛋白質候補として、ケモカインとその受容体、サイトカインとその受容体、免疫関連因子、プロテアーゼとそのインヒビター等、多数の膜タンパク質を含む238種のリコンビナントタンパク質を、コムギ胚芽を用いた無細胞タンパク質合成技術により作成すると同時に、安定同位体標識し、タンパク質絶対定量解析用の内部標準炎症関連標準タンパク質ライブラリーiSIRPLの構築を終了した。さらにはこれらリコンビナントタンパク質のイオン化ペプチド(プロテオタイピックペプチド)を決めMultiple Reaction Monitoring (MRM)解析システムの構築に必須の基本情報を取得した。
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今後の研究の推進方策 |
炎症組織、および炎症関連細胞でのSheddingの実態把握のために、絶対定量メンブレンプロテオーム解析を行う。我々が24年度に構築を進める安定同位体標識炎症関連膜タンパク質ライブラリーiSIRPLを用い、以下の解析に進む。 in vitro解析:マウスの培養単球・マクロファージ、線維芽細胞、血管・リンパ管内皮細胞に着目し、マウスiSIRPLを用いて、炎症関連マーカー蛋白質、特に絶対定量メンブレンプロテオーム解析を行う。さらに、これらの細胞をサイトカイン、ケモカインやLPS等の炎症惹起物質で刺激した後に、再度絶対定量解析を行い、Sheddingを受けるタンパク質を探索・同定するとともに、その効率を定量化する。これにより、炎症関連膜タンパク質のSheddingプロファイリングデーターシートを作製する。 in vivo解析:膠原病モデルマウス群MHX/lprの各系統マウスより、尿、血液液および疾患部位組織採取し、iSIRPLを基に、Sheddingを受け細胞外に遊離するタンパク質を検出するために、トリプル四重極型質量分析計によるMRM解析を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
消耗品、旅費、謝金、その他(共同施設使用料、論文校閲・掲載費)に使用予定である。繰越金はin vivo解析用の消耗品、共同施設使用料に当てる。
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