研究課題
(1)ミトコンドリアDNA多型:すでに前年の久山町住民の解析において、アルツハイマー群において有意に高いミトコンドリアDNA多型を見出している。コホート研究であるので、さらに今後非アルツハイマー群でその多型を持っている住民の経過の観察を続ける。(2)メタボローム解析系の構築:候補ミトコンドリアDNA多型の臨床的ならびに生化学的意義の解析のためには、統計学的な有意性だけでは不十分で、機能的な側面の解析が必要である。ミトコンドリアDNAはエネルギー代謝の中心である電子伝達系のサブユニットをコードしていること、現在アルツハイマー病が脳の糖尿病ともいわれるほどエネルギー代謝の変化が重要であることが認識されれていることを考えると、エネルギー代謝を中心とした代謝変化を定量的に解析できる系が必要である。そこで、LC/MS/MSとGC/MS/MSの系を用いて、エネルギー代謝を中心に約300の代謝産物が同定・定量できる系を構築した。(3)メタボリックシンドローム関連ミトコンドリアDNA多型:アルツハイマー病の発症機序とも関連するメタボリックシンドローム群で有意に低いミトコンドリアDNA多型についてもコホート研究として経過を観察中である。(4)ミトコンドリアDNA多型サイブリッドの作製:エネルギー代謝酵素は当然ながら、そのほとんどが核のDNAでコードされている。そのため、ミトコンドリアDNA多型の代謝への影響を評価するためには、核のDNAのバックグランドが共通でミトコンドリアDNAだけが異なる細胞(サイブリッド)を作成する必要がある。現在のところ1種類のミトコンドリアDNA多型について、ミトコンドリアDNAだけを置き換えたサイブリッドを作製した。そのサイブリッドについて、メタボローム解析を行ったが親株との差異を見出すことはできていない。
2: おおむね順調に進展している
(1)ミトコンドリアDNAの多型解析から、非発症群と有意に差のある多型を見出せている。コホート研究であるので、さらに今後長期間の経過観察が必要である。(2)しかしながら、その多型のエネルギー代謝における機能的な変化は現時点では見いだせていない。
(1)特に非発症群の経過観察を続ける。(2)より多くの代謝産物が測定できるメタボローム測定系を構築する。
適切に使用したが 次年度に有効に活用するため使用額が生じた。計画どうり消耗費、学会発表、論文作成に使用する。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 3件)
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