研究課題
消化器癌の摘出標本における断端・深達度評価、ならびに分子標的治療薬bevacizumab(アバスチン)の腫瘍新生血管に対する治療効果判定を目的として、7T超高磁場MRIによる消化管病変撮像法の開発を目指す。本年度は酸化鉄(III)浸透法による粘膜ムチン強調撮像法の開発を行った。ムチンのエンハンスメントにはコロイド鉄、並びに高鉄ジアミン染色液を用いた。撮像の条件は、濃度、浸透時間、固定条件について検討した。固定条件は、室温で、Triton-X処理を行い、1時間の浸透時間で高鉄ジアミン染色液によるエンハンスメントが可能であった。ラット大腸癌発がんモデルで3T/7T MRIによる腫瘍範囲の決定を行い、全ての標本を2 mm間隔でブロック作製し、4マクロメーターの暑さで連続切片をつくった。最小病変は50マイクロメータの微小病変を確認でき、腫瘍の側方進展を明確に決定できた。深部方向への浸潤はT2画像で評価し、筋層浸潤はある程度明確化可能であった。高鉄ジアミン染色液を用いた浸透染色と高磁場MRIを組み合わせることで、腫瘍細胞の側方進展の明確化が可能であった。本法は従来の病理検査手法を用いることなく、短時間に粘膜切除標本の腫瘍範囲の特定が可能で優れた方法であった。さらにGd(ガトリニュウム)含有ポリアミドアミンデンドロン脂質を用いた、腫瘍および腫瘍新生血管の造影法の開発に着手し、条件検討を開始した。
2: おおむね順調に進展している
本研究は、実験計画の予定通り進捗している。現在投稿論文を作成、および特許の申請に向けた準備を開始した
Gd(ガトリニュウム)含有ポリアミドアミンデンドロン脂質を用いた、腫瘍および腫瘍新生血管の造影法の開発に着手し、条件検討を開始した。さらにベンチトップ型のMRIでの臨床応用の可能性についても検討を重ねる。
上記実験のための,動物,試薬等を計上した.
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件)
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